Archive for the ‘会社設立にあたって’ Category
定款に定めた目的以外の事業を行うことはできますか?
Q 定款に定めた目的以外の事業を行うことはできますか?
A 定款に定める「目的」は、事業内容を指します。会社はこの目的以外の事業を行うことが禁じられています。設立してすぐに始める業務のみならず、将来に行うかもしれない事業や、今から興味のある事業については、あらかじめ定めておきましょう。目的の追加変更には登記が必要で、登録免許税として3万円かかります。
抽象的な表現での登記も認められますが、許認可の必要な事業を扱う場合は、めいめいの許認可の監督官庁にその文言を確認することが大切です。この際、違う表現を使用すると許認可がおりない場合もありますので、注意が必要です。
目的の数は法律で定められておらず、制限はないです。ただし、あまりに多すぎたりすると、「本業が曖昧だ」と第三者から不審に思われるケースもありますので注意してください。中小企業であれば、10個くらいが無難でしょう。
記入方法ですが、箇条書きにしてから、番号を順に振ります。そして最終項目を「前各号に付帯または関連する一切の業務」とするのが典型的です。
[記載例]
1.インターネットホームページの企画・制作
2.印刷物の企画・制作
3.経営コンサルタント及び各種マーケティングリサーチ業務
4.日用品雑貨の販売
5.広告代理業又は広告業
6.写真、ビデオなどの映像の企画及び撮影並びに編集
7.生命保険代理業
8.前各号に付帯または関連する一切の業務
印鑑証明書に有効期限はありますか?
Q 印鑑証明書に有効期限はありますか?
A 定款の認証や登記の申請時に印鑑証明書が必要ですが、いずれも発行してから3ヶ月以内のものに限ります。不備により手間がかかると審査のスピードが落ちてしまいます。
スムーズな手続きを行なうために、よく確認しましょう。
登記申請には、登記申請書の作成に加え、何点かの書類を添付して提出することになっています。公証役場で認証される定款もその一つです。
登記の際には、以下の書類を用意します。
登記申請書、定款(謄本)、払込証明書、取締役代表取締役の就任承諾書、取締役全員の印鑑証明書(取締役設置会社の場合は代表取締役のみ)、登記すべき事項を印刷したOCR用紙(フロッピーディスク、CD-Rでも可)、印鑑届書、登録免許税貼付用台紙
設立時、定款に代表取締役や役員の選任などを定めていなかった場合は、それらの決議書を作り、添付してください。
現物出資があり、募集設立(発起人以外から出資者を広く募ること)を行う際は、他にもさまざまな書類を用意する必要があります。
また、登記申請にも期限が設けられています。 発起設立の場合の期限は、「設立時取締役等による調査」の終了日か、発起人が定めた日、そのどちらか遅い日から2週間以内です。
「設立時取締役等による調査」とは、その会社設立にあたってきちんと出資が完了しているか、手続きが法令違反になっていないか、定款に則しているかを調査するものです。選ばれた取締役はこの調査をして、違反していることがあった場合は、発起人に通知する必要があります。
定款認証から登記までの期限はありませんが、できるだけ早く登記申請するのがよいでしょう。
許認可が必要な事業にはどのようなものがありますか?
Q 許認可が必要な事業にはどのようなものがありますか?
A 事業には、その内容によって、行政庁の許認可が必要になるもの、届け出なければならないものがあります。きちんとした手続きを踏まないと、それが刑事罰に当たる可能性もあり、営業を停止せざるを得なくなってしまいます。
許認可の申請、取得には長い時間がかかる場合が多いです。会社を始める用意ができていても、許認可の取得ができなければ営業をスタートすることはできません。できるだけ早く要件確認が重要になってきます。
主な事業と、届出の必要な許認可
業種 |
許可・届出 |
許認可権者 |
飲食店 | 食品営業許可 | 保健所 |
美容院 | 美容所開設届出 | 保健所 |
ホテル・旅館 | 旅館業営業許可 | 保健所 |
クリーニング店 | クリーニング所開設届出 | 保健所 |
理髪店 | 理容所開設届出 | 保健所 |
介護事業 | 介護事業指定 | 都道府県知事 |
産業廃棄物処理業 | 産業廃棄物収集運搬業許可 | 都道府県知事 |
産業廃棄物処分業許可 | ||
貸金業 | 貸金業登録 | 財務局長又は都道府県知事 |
風俗営業 | 風俗営業許可 | 公安委員会 |
中古品販売 | 古物商許可 | 公安委員会 |
探偵業 | 探偵業の届出 | 公安委員会 |
警備業 | 警備業認定 | 公安委員会 |
建設業 | 建設業許可 | 国土交通大臣又は都道府県知事 |
不動産業 | 宅地建物取引業免許 | 国土交通大臣又は都道府県知事 |
旅行業 | 旅行業登録 | 国土交通大臣又は都道府県知事 |
タクシー業 | 一般乗用旅客自動車運送事業許可 | 国土交通大臣 |
旅行代理業 | 旅行業者代理業登録 | 都道府県知事 |
軽トラック運送業 | 貨物軽自動車運送事業経営届出 | 運輸局長 |
トラック運送業 | 一般貨物自動車運送事業経営許可 | 運輸局長 |
酒の販売 | 酒類販売業免許 | 税務署長 |
たばこの販売 | 製造たばこの小売販売業許可 | 財務局長 |
自動車分解整備業 | 自動車分解整備事業認証 | 運輸局長 |
人材派遣業 | 一般労働者派遣事業許可 | 厚生労働大臣 |
特定労働者派遣事業届出 | ||
倉庫業 | 倉庫業登録 | 国土交通大臣 |
すべての株式会社は株券を発行しなければならないのでしょうか?
Q すべての株式会社は株券を発行しなければならないのでしょうか?
A 新会社法施行後は、不発行が原則となっています。
新会社法が施行される前は(旧商法)、原則として会社すべて株券を発行しなければならないと定められていました。株券を発行しない場合は不発行について、定款にて定める必要がありました。ですが実際には株券を発行する株式会社は少なく(上場会社を除く)、管理の手間、紛失のリスク、流通の方法、発行のコストなどの諸問題があったために、新会社法の施行に伴い、不発行が原則となりました。新会社法が施行された後に設立する株式会社においては、株券を発行することを定款に定めない限りは、株券発行の必要はないです。
もしも株券を出したいときは、定款にその旨を定めます。株券を出す会社を「株券発行会社」といい、その場合、株式の譲渡には株券の引き渡しが必要です。
株式譲渡制限会社(すべての株式に譲渡制限のある会社)では、発行について定めていても、株主から請求されなければ発行しなくてもよいです。
株券を作りたいときは、証券印刷会社への委託、または市販の株券用紙への必要事項の記載、という方法があります。
株券を発行しないときですが、その場合は株主名簿による株主の管理を行います。株券不発行会社において、株主の株主たる地位を立証できるのは原則としてこの株主名簿のみです。
なお、既に存在する株券発行会社が株券不発行会社へ移行するには、株式不発行について定款に定める必要があります。
創業メンバーが均等に出資をすることのデメリットはありますか?
Q 創業メンバーが均等に出資をすることのデメリットはありますか?
A 複数人で会社をおこす際は、最低でも1人が持ち株の過半数以上を持つようにしたほうがいいでしょう。
また、スムーズな経営を行う為にも、取締役の人数は少なくしたほうが吉です
複数人での会社設立はよくあるケースです。メンバー各々の特性を活かし、負担を分け合って運営していけるのはメリットです。しかし主導権や責任の所在が不明になり、お互いに依存してしまいうまくいかないという話もよくあります。たとえ今がよくても、会社が運営を続けていく中でそれぞれの考え、理念、方向性が変わっていく場合があるでしょう。
特に、設立時のメンバーで均等に出資をしたのに、後に経営に対する考えがズレてくると大変です。株式会社の場合、出資者の権限は出資額に応じて強くなります。
均等に出資をしたメンバーが、たとえば、3対3で対立した場合、決定は何もできなくなってしまいます。役員を選んだり、解雇したり、報酬を決定したりする場合は、過半数の同意が必要となるので、対立状態のまま行き詰まりになるかもしれません。株式はできるだけ特定の人に集中させましょう。
同じように、2人で会社を設立する際、半分ずつ資本を出しあう場合が多いようですが、対立した時のことを考え、どちらかが過半数を持っておいたほうが吉です。
自己破産者でも再度事業にチャレンジし、取締役になれますか?
Q 自己破産者でも再度事業にチャレンジし、取締役になれますか?
A 新会社法の施行後は、自己破産者でも取締役になることができるようになりました。
しかし業種により許認可が得られない時もあるので注意が必要です。
新会社法施行前は、自己破産者はその手続きをし、免責決定を受け、復権するまでは取締役になることは禁じられていました。
中小企業の経営者は会社の債務を個人で保証している場合が多く、会社が倒産すると経営者も自己破産してしまう事例が多数ありました。自己破産した経営者が再び市場に参入することができないと、経済の活性化するスピードが落ちてしまいます。新会社法ではこのデメリットを解消すべく、復権が得られていない人でも取締役になることを可能としています。
しかし会社法上では可能でも、各業種法上では、許認可が得られないケースがあります。例を挙げれば、建設業の場合は、復権を得られていないと許可が出ません。せっかく開業しても営業ができないと意味がありません。許認可が必要な業種は、前もってきちんと確認しましょう。
加えて、民法の規定により、取締役が任期中に自己破産してしまうと、委任関係は終わり、自動的に退任になります。しかし、すぐ株主総会を開けば、再び取締役に選任することができます(再任・退任どちらも登記が必要)。
以下の人は取締役になることができません。
・法人(株式会社含む)
・被保佐人または成年被後見人
・会社法、破産法、証券取引法、民事再生法などの法律に違反した人(刑執行終了から2年以内)
・上記以外の規定に違反した人で、禁固以上の刑を与えられている人、その執行を終えていない人、またはその執行を受けることがなくなるまでの人(執行猶予中の人は除く)
会社設立にあたり、取締役会の設置は必須でしょうか?
Q 会社設立にあたり、取締役会の設置は必須でしょうか?
A 新会社法により、取締役会の設置、監査役は必須ではなくなりました。取締役1人での開業が可能です。株主が多数いて、その権利を守る必要がある場合や、上場を視野に入れているといった事情がない限り、取締役会をあえて置く必要はないでしょう。
会社設立の際は、取締役の存在が必要です。
株主から会社の経営・運営を任された人を取締役といいます。もし「取締役会」を設置したいならば、3名以上の取締役が必要になります。新会社法が施行される前は、取締役会と監査役が必要でした。しかし今は「株主総会と取締役1人」の必須のみ定められており、他にどんな機関を設置するかは定款に定め、自由に決定することができます。
取締役会の設置された会社は、業務内容を取締役会(会議)により決定し、それを代表取締役か、執行の委任を受ける取締役(業務執行取締役)が実行するということになります。
取締役会の設置がない会社では、株主総会での決議事項が限定されません。いっぽう、取締役会の設置された会社では、取締役会によりあらかじめ決められ、召集通知に書かれた議題のみの決議となります。この厳しい決まりは、多くの株主の存在を想定しているものですから、一般の中小企業ではあえて設置する意味はないといえるでしょう。
取締役会の設置には、役員の人員確保によるコストの増加というデメリットが存在します。
なお、監査役は、取締役の業務の監督、会計の監査役割を持ちます。監査役の設置は自由ですが、取締役会を設置する会社は、監査役の設置も必須になります。
資本金を増やすために現物出資しようと考えています。その為の現物は何でもよいのでしょうか?
Q 資本金を増やすために現物出資しようと考えています。その為の現物は何でもよいのでしょうか?
A 現物出資は可能ですが、適正な資産額を計算、評価しなければならず、手間がかかる場合もありますし、会社に損害を与えることもあります。特に安価な現物の出資は、検討する必要がありそうです。現物出資の際は、いくつかのポイントをしっかりとおさえておきましょう。
資本金は現金以外の資産での出資も可能です(車、不動産、コンピューター、有価証券など)。これを「現物出資」といいます。手間のかからない現金出資のほうが分かりやすいですが、現物出資のメリットは、持っている資産を利用できることにあります。
現物出資のポイントは、出資する現物の評価額です。きちんと評価しなければ別の株式との間に不公平が生まれます。場合によっては会社に損傷を与えかねません。ですので、より正確で客観的な評価を行うため裁判所から選ばれた検査役による調査が必要になります。ですが、準備のための手続きを行い、調査が完了するまでにはまずまずの日数、そして費用がかかります。
以下の条件を満たすと、検査役による調査は不要となります。現物出資をする際はこの程度の範囲で行ったほうがいいでしょう。
検査役による調査がいらない現物出資
・財産額500万円以下の場合
・有価証券(市場価格のある)で、定款により定めた価額が市場価格以下の場合
・弁護士、税理士、公認会計士などから証明された場合(不動産の場合は不動産鑑定士による鑑定評価も必要です)
貸借対照表上、現物出資は資産として計上可能で、特定して譲渡できるものであれば出資できます。ですので、たとえば書籍や机なども現物出資は可能です。しかしそれぞれの適正な資産額の評価が必要となります(購入時の価格ではなく時価での評価が必要)。
最低資本金制度が無い今、車やコンピューターを出資する場合はありますが、あえて手間がかかる安価な現物の出資で資本金を増やすメリットはあまりないでしょう。
会社設立にあたって親からの個人的な借金に借用書は必要ですか?
Q 親からの個人的な借金に借用書は必要ですか?
A 個人的な借金に問題はないですが、贈与とみなされない為に、借用書または金銭消費貸借契約書の作成が必要です。
両親から資金の援助を受ける際の方法を確認しておきましょう。
起業にあたり両親から借り入れをする場合、以下の方法が考えられます。
1.個人的な資金の贈与
贈与を両親から受けたら、贈与税を企業家個人として申告し、納めなければなりません。
しかし贈与税は年間で110万円までは発生しません。
2.個人的な資金の貸与
貸与の場合、税金は発生しません。ただし借用書がないと贈与税が発生する可能性があります。
3.会社からの出資
両親に株主になってもらう方法です。会社が軌道に乗ってから株を買い取り、出資関係を解消できます。
4.会社からの融資
個人ではなく会社として資金を借りる方法です。借用書が必要です。
借用書を作る際は、金額、利息、返済期間などの借入条件の明記が必要になります。
資本金1円でも会社設立は可能でしょうか?
Q 資本金1円でも会社設立は可能でしょうか?
脱サラして開業しようと思っています。最低資本金額の制限もなくなったそうですし、お金がないので資本金を1円とし、運転資金は借金してなんとかしようと考えています。
A 設立はできますが、信用の問題、融資、運転資金といった様々な面から慎重に資本金額を決めることが大切です。
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