私の父の仕事は貿易関係で、長い間アメリカで暮らしています。娘の私は大学生で、生まれて以来、日本でずっと暮らしていますが、父のようにいつか外国で活躍できるよう、留学したいと思っています。この間父が帰国した際に、アメリカの銀行のステートメントを預かりました。その内容を確認すると、アメリカの私名義の預金口座に父から現金が振り込まれていました。父によれば、将来留学したときのために使うようにとのことでした。とてもうれしく思ったものの、大学の授業では現金をもらったら贈与税がかかると教わったことから、税理士を目指している友人に聞くと、海外にある現金をもらっても日本の贈与税が課されることもあるとのことでした。そして、その年の12月31日において国外に5,000万円を上回る財産を有している場合、税務署に報告する必要があることも初めて分かりました。贈与する父がアメリカで暮らしており、預金口座も同国にあるため、日本の贈与税は課されないと安易に考えていたのが問題だったのですか?

 

Q.
 私の父の仕事は貿易関係で、長い間アメリカで暮らしています。娘の私は大学生で、生まれて以来、日本でずっと暮らしていますが、父のようにいつか外国で活躍できるよう、留学したいと思っています。この間父が帰国した際に、アメリカの銀行のステートメントを預かりました。その内容を確認すると、アメリカの私名義の預金口座に父から現金が振り込まれていました。父によれば、将来留学したときのために使うようにとのことでした。
 とてもうれしく思ったものの、大学の授業では現金をもらったら贈与税がかかると教わったことから、税理士を目指している友人に聞くと、海外にある現金をもらっても日本の贈与税が課されることもあるとのことでした。そして、その年の12月31日において国外に5,000万円を上回る財産を有している場合、税務署に報告する必要があることも初めて分かりました。贈与する父がアメリカで暮らしており、預金口座も同国にあるため、日本の贈与税は課されないと安易に考えていたのが問題だったのですか?

A.
 年間110万円を上回る財産をもらった人に対しては、贈与税が課されます。贈与税の納税義務者については、国内財産のみの課税となって国外財産は課税されないのは、受贈者が、国内に住所がなく、かつ、日本国籍を有している人については贈与者と受贈者のいずれも5年を超えて国内に住所がない場合、日本国籍を有していない人については贈与者が国内に住所がない場合です。
 なお、国内に住所があるか否かについては、単純に年間の滞在日数だけで判断されるものではなく、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍といった客観的事実により判断されます。
 また、財産の所在地については、資産ごとに次のとおり定められています。
○預貯金…預け入れを行った支店・営業所の所在地
○貸付金…債務者の住所又は本店等の所在地
○生命保険契約…その契約に係る保険会社の本店等の所在地
○社債・株式…発行法人の本店の所在地
○国債・地方債…発行した国・地方公共団体の所在地
○不動産…その不動産の所在地
○その他、定めのない財産…贈与者の住所地
 ご質問のケースでは、贈与者である父については日本国内に住所がないものの、受贈者であるご質問者は国内に住所がありますので、国内財産のみならず国外財産にも課税されます。贈与した預貯金はアメリカの口座ですので、「預け入れを行った支店・営業所の所在地」が国外となります。したがって、国外財産の贈与となります。このようなことから、ご質問者が父からもらった現金は、日本の贈与税の対象とされます。
 このように、国外にある財産についても、贈与者と受贈者の住所等によって日本の贈与税の対象とされます。なお、平成26年以後は、「国外財産調査書」を提出しなければならないことから、国外にある財産につき贈与や名義の書き換えを行うに当たっては、留意する必要があります。

Copyright(c) 2014 はじめての会社設立・法人設立 All Rights Reserved.