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「法人成り」とはなんですか?

 

Q 「法人成り」とはなんですか?

A 個人事業者が法人を設立して、そこに事業の形態を切り替えることを「法人成り」と呼びます。
 法人成りをする場合、継続している取引に支障のないように、慎重にスケジューリングをすることが大切です。
 
法人成りの主な手順は次のようになります。
1.会社概要と設スケジュールの決定
2.引き継ぐものの決定
3.会社設立登記の手続き
4.取引先などへの契約変更の届出
5.個人事業廃業の手続き
 
法人化に伴って個人事業を廃止した際は、廃業日より原則として1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」、「給与支払事務所等の廃止届出書」、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」、「消費税の事業廃止届出書」を提出します(個人事業時代の各種届出は、会社には引き継がれないため)。
各種特典を会社が受けるには、再度会社として青色申告の承認申請書などを出す必要があります。
しかし、自宅を事務所や店舗として会社に貸す場合には、ここに個々の不動産所得が発生しますから、そのまま確定申告を継続します。この場合廃業届などの提出は必要ありません。

予定納税の減額申請書
所得税の予定納税とは、その年の5月15日現在で確定された、前年分の税額や所得金額などをもとに算出された予定納税基準額が15万円以上になる場合、あらかじめその年の所得税の一部を納める制度です。第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに、予定納税基準額の3分の1の金額を納付するという決まりです。
 
個人事業を廃業し法人成りしたら、税務署に予定納税額の7月(11月)減額申請書を提出しましょう。もし減額申請を忘れたら、とりあえず納付書通りに納税をし、還付申請を忘れずにしましょう。

法人成りに伴う消費税の負担の増加を抑える方法はありますか?

 

Q 法人成りに伴う消費税の負担の増加を抑える方法はありますか?

A 法人成りをする際、会社への資産の譲渡について決定したら、「課税売上割合に準ずる割合」の使用、その有利不利について検討しましょう。もし有利ならば、個人事業を廃業する前に「課税売上割合に準ずる割合の適用申請書」を税務署に提出して、承認を受けます(課税期間の末日まで)。不合理な負担を解消できる場合があります。
課税事業者が法人成りの際に高額な資産(土地など)を譲渡した時、「課税売上割合」が95%未満となり、消費税の負担増加につながるケースがあります。
「課税売上+非課税売上」のうちの「課税売上」の割合を、「課税売上割合」といいます。これが95%以上ならば非課税売上が非常に小さいということになり、払った消費税を分割せずに全額控除することが可能です。それとは反対に、「課税売上割合」95%未満の時は、消費税のうち課税売上に対応する部分に限って控除されます。その計算方法については、以下のどれかになります。

・個別対応方式
 課税期間中の課税仕入れなどに係る消費税額を
(X)・・・課税売上にのみ対応するもの
(Y)・・・非課税売上にのみ対応するもの
(Z)・・・(X)と(Y)の両方に共通するもの
 に区分し、次の算式で控除できる税額を計算。
(X)+(Z)×課税売上割合
・一括比例配分方式
 上記の区分をせず、次の算式により控除できる税額を計算。
 課税仕入れなどに係る消費税額×課税売上割合
 *一括比例配分方式は、2年間継続適用をしなければならない

例えば、たまたま土地を譲渡したせいで、課税売上割合が従来の年度より際立って低下し、上の方式で消費税額の計算を行わなければならないと、消費税の負担だけが増加し不合理です。そこで、「課税売上割合に準ずる割合」を用いて計算することが許可されています。これは原則的な課税売上割合と異なり、全ての事業について同一の割合を適用する必要はないです。
「課税売上割合に準ずる割合」を使用したいときは、税務署に赴き、「課税売上割合に準ずる割合の適用申請書」を提出し、課税期間の末日までの承認が必要です。

固定資産の個人事業から会社への引き継ぎ方には、どのような方法がありますか?

 

Q 固定資産の個人事業から会社への引き継ぎ方には、どのような方法がありますか?

A 法人成りをする時は、個人事業時代の資産、負債について、どれをどうやって引き継ぐかを考えなければなりません。
買掛金・売掛金は意図的に会社に引き継ぐ必要はないです。従来のように、個人口座に入金してもらい、個人で支払うほうが簡単です。引き継ぐ際には、取引先への通知と承認を受けることが必要です。
事業用の借入については会社に引き継ぐべきです。しかし金融機関の同意が必要になりますので、事前に相談して内諾をとっておきましょう。金融機関が許可しない場合、引き続き個人事業者として返済することになります。事業用資産のリース契約もリース会社の同意が必要ですので、事前に担当者に相談しましょう。
固定資産の個人事業から会社への引き継ぎ方には、他に以下の方法があります。

・売買契約
資産を売却する方法になります。会社と売買契約書を結び、代金のやり取りをします。譲渡益に応じて、個人事業者は所得税が発生します。
・現物出資
金銭以外の資産を出資する方法になります。車やコンピューターなど、時価により評価、出資します。
・賃貸借契約
これは個人事業者から会社へ資産を貸す方法になります。賃貸借契約書を結び、賃貸料のやり取りをします。土地や建物などは現物出資もしくは売買すると、登録免許税や不動産取得税などが発生してしまうことがありますので、検討の価値がある方法です。しかし、会社から個人に賃貸料の支払が発生すると、法人成り後も個人はその収入を確定申告しなければなりません。

法人成りをした場合の確定申告について教えてください

 

Q 法人成りをした場合の確定申告について教えてください

A 年の途中で法人成りをし、個人事業を廃業した際、これまで同様、その年は確定申告を行う必要があります。1月1日~12月31日の一暦年に関して、翌年の3月15日までに確定申告をします。
この際、法人成りをするまでの個人所得、会社からもらった役員報酬、合算での申告が必要です。自宅を会社に店舗・事務所として貸出している場合は、不動産所得も併せて申告しましょう。
個人事業の最終年度の確定申告については、以下の点に注意しましょう。
・売上高
発生基準に基づき、その年の1月1日~廃業した日までの売上を計算します。もしも廃業前日に売上があった時は、個人事業者の時の売上として、総収入金額に入れることができます。
・貸倒引当金
法人に引き継ぐことができないため、全て戻し入れをします。
新たな繰り入れでこの年の経費にすることは不可です。
・貸倒損失
貸倒損失が廃業した日の属する年に生じた場合、それは必要経費に計上することが可能です。
個人事業の廃業後に貸し倒れが生じた場合、その年の必要経費にできたものについては、事業の廃業がなければ、必要経費に算入することが可能です。
・青色申告の特別控除
年の途中で廃業の場合、青色申告の特別控除を月割計算する必要はないです。65万円、または10万円の全額を控除できます。
・個人事業税
普通、個人事業税は翌年の費用として計上します。しかし、廃業した年度に限り、課税見込額を必要経費に算入できます。

個人事業税の見込額計算方法
(A ± B )× C ÷(1 +C )
A…所得金額
B…調整金額(事業主控除など)
C…事業税の税率

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