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節税対策を行うのに、決算業務を始めてからでは遅いでしょうか?

 

Q 節税対策を行うのに、決算業務を始めてからでは遅いでしょうか?

A はい。節税対策を行なうのなら、決算日後に動き出してもほとんど無駄といっていいでしょう。決算日後に実施できても、効果はとても小さいです。
 節税対策を実施したい場合は、あらかじめ経営状態を確認し、どんな方法がよいか検討しておきましょう。
 

[主な節税対策]
・先行投資
 設備投資などを行い、利益の圧縮を図ります。もし減価償却資産を購入したら、その全額は損金算入できないので注意が必要です。購入~決算期まで、期間が短いほど償却可能な金額も抑えられます。覚えておきたいのが、資金が流出するため、キャッシュフローが悪くなることです。

・消耗品の購入
 包装材料、広告宣伝用印刷物、事務用の消耗品などを買い、費用に計上しましょう。本来は消耗品などは買った年度ではなく、使った年度の費用として、計上しなければなりませんが、そうすると在庫の正確な管理が困難になります。
以下の要件を満たしていれば、購入した年度の費用として使用できます。
1.毎年継続して、購入した年度の費用として計上すること
2.各事業年度ごとにおおむね一定数量を購入していること
3.毎年経常的に消費するものであること

・短期前払費用の特例
 継続している取引について、サービスの提供をまだ受けていないにもかかわらず、支払が完了している費用のことを、「前払費用」といいます。本当ならば、支払した際に資産計上し、サービスの提供を受けたらその時に費用とすべきものです。しかし、保険料や地代家賃など、支払日から1年以内にそのサービスの提供を受けるものは、「短期前払い費用の特例」によって、支払事業年度の損金算入が許可されます。例えば、期末にこの先1年分の家賃の支払いをして、全額を費用計上します。

・未払費用の計上
 この節税対策は決算の後からでも実施することができます。もう買っていたり、サービスを受けているのに、支払がまだ済んでいない費用のことを、「未払費用」といいます。原則として、かかった費用はすべてその期の決算に反映させます。つまり、原則通り費用計上します。例えばや社会保険料、公共料金、人件費などは未払費用になります。

 その他に、消費税の選択や、開業費・創立費の償却(質問53参照)なども対策の一つです。
もしも経営初年度から大きな利益が出る見込みがあり、節税対策を実行したいのであれば、税理士に早めに相談するが吉でしょう。

事業年度が1年未満の場合、決算業務の留意点について教えてください。

 

Q 事業年度が1年未満の場合、決算業務の留意点について教えてください。

A 会社設立初年度は、事業年度が1年未満であることが多く、計算方法で注意しなければいけない点があります。

・減価償却
 減価償却費の計算方法です。
取得価額×償却率×実際に使った月数/12
 1年未満の事業年度の場合、償却率は変わります。
償却率×当期の月数/12
 で計算しましょう(改定償却率)。
 さらに、月ごとに按分しなければなりません。
取得価額×改定償却率×事業の用に供した日から期末までの月数/事業年度の月数

・一括償却資産
 資産の取得額が10万円以上20万円未満のもの(減価償却の対象となるもの)は、3年間で均等に償却することができ、これを「一括償却資産」といいます。
 次の式で計算されます。
一括償却資産の取得価額の合計額×事業年度の月数/36

・交際費の定額控除限度額
 中小法人は、年間800万円まで交際費について全額、損金に算入できます。
 事業年度が1年未満の場合、
800万円×事業年度の月数/12
で計算した金額が限度額です。

・法人税の軽減税率が適用される課税所得
 中小法人(資本金1億円以下の法人)は、法人税の軽減税率が適用できます。年間800円までの所得に対しては、15%(通常は25.5%)の税率で計算されます。
 事業年度が1年未満の場合、
800万円×事業年度の月数/12
で計算した額になります。

・少額減価償却資産の特例の限度額
 少額減価償却資産の特例により、青色申告法人の中小法人は、取得価額が30万円未満の備品等を一括で損金算入できることになっています(年間300万円が限度額です)。
 事業年度が1年に満たない場合の限度額は、次の式で計算されます。
300万円×事業年度の月数/12

税金を支払うための現金はどのくらい準備しておくべきでしょうか。

 

Q 税金を支払うための現金はどのくらい準備しておくべきでしょうか。

A 実際に手元にある現金と利益とは必ずしも一致しません。そのため、お金が足りなくて税金を支払えないケースもあり得ます。各種納税額は前もって計算し、予算に取り込んでおきましょう。目安は、利益の30〜40%です。
法人は、原則としてその事業年度終了日翌日から、2ヶ月以内に申告、納税することが定められています。この際、税金分の現金を用意しておかなければなりません。
 法人税は、会社の利益から算出されるものです。しかし、多くの場合利益と手元の現金が一致することはないでしょう。現金が多く出ていっているのに対し、費用計上が少ないのが「減価償却資産」です。「売掛金」は回収するまで自由な資金にはなりません。よって、利益が発生しているにも関わらず、現金がなくて税金が払えばないことも起こり得るでしょう。最悪の場合、資金が足りなくて調達も難しければ、「黒字倒産」してしまいます。納税額は前もって計算し、予算に組み込んでおくことが大切です。
 所得に応じ、法人が負担しなければならない税金には、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」があります。税率はそれぞれ異なりますが、3つを合わせ計算する実質的な税率を「実効税率」と呼びます。
 
実効税率の求め方
 実効税率={法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷(1+事業税率)

 支払った年度の費用として、法人事業税は利益から控除できます。

 本社の所在地や資本金額によって変化しますが、実効税率の目安は利益の30〜40%です。税金納付の時にその分の現金を確保しておきましょう。

簿記の知識があれば、会社の確定申告・決算を自分で行うことは容易ですか?

 

Q 簿記の知識があれば、会社の確定申告・決算を自分で行うことは容易ですか?

A 容易ではありません。法人の決算、申告、納税作業を自社で行なうことは、個人の税務申告に比べ、はるかに時間と手間がかかります。申告ミスが発覚したり、納税の期限を過ぎてしまうと、ペナルティがありますので注意してください。時間に余裕を持ち、臨みましょう。

該当する月の取引がすべてまとめられた決算書を作り、帳簿を締め切る手続きのことを、決算といいます。
この決算により、納税額を確定します。「消費税」「法人税」「法人事業税」「法人住民税」が主な税金です。申告納税制度により、会社は自身で課税の対象となる所得金額と税金を計算し、税務署などに届け出る必要があります。
会社の事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内が、税務署への申告と、税の納付の期限です。3月に決算がある会社でしたら、5月31日がその期限となります(期限の日が土・日・祝日の時はその翌日)。
申告期間内の提出を忘れると、青色申告法人の欠損金額の繰越控除などの特典が利用できませんので、注意が必要です。もし決算確定が期限までに終わらない時は、申請書を出すことにより、1ヶ月の期限延長が可能です(法人税、法人住民税、法人事業税に限られる)。しかし納付の期限延長は不可です。

申告書の提出先と期限

科目 提出先 提出期限 納付期限
法人税 税務署 その事業年度

終了日の

翌日から

2 ヶ月以内

同左
消費税 税務署
法人住民税 都道府県民税 … 都道府県税事務所

市町村民税 … 市町村

法人事業税 都道府県税事務所

[決算~申告の流れ]
試算表作成
 「試算表」とは、各勘定科目の残高を集計したものです。試算表を作ることにより、期中の取引が正確に記録されているか検証します。
   ↓
決算整理
 売上原価、減価償却の計算などをします。
 決算書を正確に作成するため、若干の修正仕訳が必要です。
   ↓
決算書の作成
 帳簿を締め切ります。そして、今期の「損益計算書」「貸借対照表」を作成します。
   ↓
税務申告書の作成
 法人の税務申告書は、決算報告書、勘定内訳明細書、税務申告書で1つのセットになります。申告書類を入手するには、窓口に赴くか、管轄の税務官庁から送られてくるので、それを使いましょう。
   ↓
申告書提出・納税
 2部作成して、そのうち1部を提出しましょう。1部は控えにして、税務署などの受領印を捺印してもらいましょう。期限を守って提出、納税することが大切です。

 法人の税務申告はその手間と時間のかかりようから、税理士に依頼する場合が多いです。期中の記帳、会計管理は自らでできても、決算、申告は特にそうです。仮に自社で行うときは、時間配分をきっちりと考え、余裕をもってできるように予定を組みましょう。ペナルティがありますので、期限は必ず守らなければなりません。

減価償却とはなんですか?

 

Q 減価償却とはなんですか?

A 減価償却とは、設備投資などの費用を、一定期間に分けて計上する会計処理のことをいいます。
パソコンやコピー機、自動車や建物などの備品は、それを買った時だけでなく、長い期間に渡り使われるものです。購入した年度に全ての額を計上してしまうと、その年度は費用がかかりすぎということになり、しかし翌年からは利益が出過ぎとなり、非合理的な結果を生むでしょう。
こういったことの防止策になる決まりとして、備品の効果が及ぶ期間(=耐用年数)に分けて、それぞれ費用計上していくのが、減価償却です。

原則として、固定資産の購入に10万円以上かかる場合、減価償却しなければなりません。
減価償却の方法には二種類あります。

・定額法
毎年、同「額」減価償却する方法です。毎年一定額が費用計上されます。
(取得価額―残存価額)÷耐用年数

・定率法
毎年、同「率」減価償却する方法です。償却にかかる額は始めの年に高く、その後低減していきます。
(取得価額―前年までの償却費の合計額)×償却率
※算出された償却額が「償却保証額」(取得価額に当該資産の耐用年数に即した保証率を乗じた額)に満たなくなった年の分より以後は、低減せず、毎年同額となります。

平成24年4月1日以降に取得した償却資産については、定額法償却率を2.0倍した定率法償却率とする方法(=200%定率法)が適用されています。これまでは、250%でした。

固定資産の種類によって、定められている償却率と耐用年数は違います。
たとえば、100万円のコピー機を、リースではなく購入する場合、耐用年数は5年(定額法償却率0.2、定率法償却率0.4)ですので、算出方法は以下となります。

 

1年目

2年目

3年目

4年目

5年目

残存価額

定額法

200,000

200,000

200,000

200,000

199,999

1

定率法

400,000

240,000

144,000

108,000

107,999

1

残存価額の1円は、備忘価額として帳簿に残しておくためのものです。
す。

 定額法と定率法、どちらを使うかは、「減価償却資産の償却方法の届出」を税務署に提出することによって決定できます。提出しない場合は「法定償却方法」をとることになります。

なお特例があり、中小企業などは青色申告法人のため、30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)については、取得価額を損金にすることが可能です。ただし、限度額が合計300万円と定められています。

年末調整について教えていただけますか?

 

Q 年末調整について教えていただけますか?

A 毎月の従業員への給与支給の際、会社は所得税を源泉徴収しなければなりません。この月々の合計額と、各従業員の給与総額に対し納付が必要な年税額は、おおかた一致しません。そのため、年末(年間給与の総額が確定)にその年に納付すべきな所得税を再計算して、毎月徴収してきた税の合計額額との過不足を算出します。超過分は還付し、不足分は徴収するという定めです。この精算の流れを、「年末調整」といいます。

通常、すべての従業員について行うのが年制度ですが、以下の人は対象外となります。
・年収2,000万円以上の者
・年の途中で退職した者
・扶養控除申告書の提出のない者

大まかな流れをおさえておきましょう。
1.各種控除申告書(「保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」、「扶養控除等(異動)申告書」、「住宅借入金等特別控除申告書」)を従業員から回収します。

2.回収した書類に不備がないか確認し、控除額を算出します。

3.1年間に支給した給与と、賞与などを合計した額、月々徴収してきた税額を確定させます。

4.年税額を計算します。給与の総額から、扶養控除、所得控除、生命保険料控除などの控除額の総額を差し引いて、「課税所得金額」を算出します。千円未満は切り捨ててください。「所得税額の速算表」にあてはめて年税額を算出します。

5.源泉所得税額と年税額の過不足を計算します。既に源泉徴収している所得税額と、4番で算出した年税額との過不足を計算します。所得税額のほうが多額ならば、その金額を還付します。足りない場合は不足額を徴収してください。

所得税額の速算表

課税される所得金額 税率 控除額
195 万円以下 5% 0円
195 万円を超え 330 万円以下 10% 97,500 円
330 万円を超え 695 万円以下 20% 427,500 円
695 万円を超え 900 万円以下 23% 636,000 円
900 万円を超え 1,800 万円以下 33% 1,536,000 円
1,800 万円超 40% 2,796,000 円

[還付金が納税額より多いケース]
 還付金は、12月に支払う給与より受領している源泉所得税を財源にして支払います。残額は、翌年の1月10日が期限です。
 還付金のほうが12月に徴収した税額よりも多いというケースがあります。このときは、ひとまず会社側が還付金の立て替えをし、従業員に支給するか、翌月の源泉徴収税額が発生してから、相殺するかします(それまでは還付を待ってもらうことになります)。会社の立て替えの場合、1月に納税額は発生しませんが、税務署に対し、超過税額としてマイナスの数字を記載した納付書を提出しなければなりません。「差引納税額」はゼロですので、金融機関は受取を受領してくれません。税務署まで赴くか、郵送で出す必要があります。
 会社が立て替えた金額は、翌月の納税額から差し引いて精算します。

従業員に支払う給与から差し引かなければならないものはなんですか?

 

Q 従業員に支払う給与から差し引かなければならないものはなんですか?

A 会社において、従業員に毎月一度以上、一定の期日で給与を支給しなければなりません。その際、以下のものを控除する(差し引く)ことが定められています。

<税金>
・住民税
市区町村より通知される「特別徴収税額通知書」にもとづき、毎月控除をする。これは前年の所得にかかります。
・所得税
「源泉徴収制度」(個人の給与から、あらかじめ会社が差し引いて、個人の代わりに納める)によります。個人の所得にかかります。

<社会保険>
・健康保険
怪我、病気にかかる費用の自己負担を軽減する制度です。中小企業などは「協会けんぽ」に、大企業などは「組合管掌健康保険」に加入します。個人の報酬月額、保険料額表から保険料が決定されます。
会社負担分と、給与から天引きした額とを足した当月分が、翌月末までの支払いになります。これは厚生年金保険、介護保険も同様です。
・雇用保険
雇用の安定、そして労働者の生活を守る制度です。もしも失業してしまったら、失業手当(基本手当)を受給できるためのシステムです。
被保険者負担率(一般の事業は1000分の5)に個人の給与を掛け、計算します。
労働者災害補償保険と雇用保険の保険料は、年度の初めに概算の保険料を申告・納付し、翌年度の初めに精算という方法をとります。
・厚生年金保険
公的年金制度で、民間企業が加入します。遺族、障害、老齢に対する保障があります。
・介護保険
40歳以上からの加入が定められています。

毎月の給与は、定めた支払日に、固定的な給与(「基本給」など)に変動的な給与(「残業手当」「通勤手当」など)を加えた額から、上に挙げた控除額の合計を差し引き、支給しましょう。
健康保険、厚生年金保険、介護保険は、前月分の保険料から控除するという定めのため、支払われる者の入社した次の月からの控除となります。雇用保険料については入社した月からの控除となります。

従業員からの信用が無くなってしまうおそれがありますので、控除のミスには十分注意しましょう。また、所得税の控除を忘れると、会社が個人に代わり納税しなければなりません。給与の支給は毎月行なう手続きです。間違いを起こさないために、日程を組んで作業できるようにしましょう。

[給与の支給手続きの主な流れ]
締日として毎月決まった日を設定(「毎月○日」)し、従業員の1ヶ月間の勤怠をまとめます。
    ↓
固定的給与(「基本給」など)、変動的給与(「残業手当」「通勤手当」など)を算出します。
    ↓
総支給額から、社会保険料の控除額と源泉徴収額を算出します。
    ↓
給与明細書を作成します。
    ↓
振込での支給の場合は金融機関で手続きを、現金支給の場合は現金を用意します。
    ↓
定めた給料日に支給します。この時、給与明細書を渡します。

領収書に貼るべき収入印紙を貼付し忘れるとどうなりますか?

 

Q 領収書に貼るべき収入印紙を貼付し忘れるとどうなりますか?

A 印紙税法で定められた、契約書、領収書、有価証券といった課税文書の作成に対し、課せられる税金を印紙税といいます。印紙税は国税のうちの1つです。印紙税の納付方法は原則として、納税者(文書作成者)が、定められた金額の収入印紙をその文書に添付し、消印します。
 貼る必要のあった収入印紙を貼付し忘れたり、印紙の金額が足りなかったりしたことが発覚したとき、本来納付すべき印紙税の3倍の過怠税が課税されます(自主的に申し出れば1.1倍となります)。たとえ印紙税の存在を知らなかったとしても関係ありませんので、注意が必要です。
 しかし収入印紙の貼付の有無によって、契約そのものの実効性が左右されることはないです。

 印紙税において、領収書は「売上代金に係る金銭または有価証券の受取書」に当たり、
定められた金額の収入印紙を添付し、消印しなければなりません。
 以下、「金銭または有価証券の受取書」の領域となります。

・レシート、領収書
・受取事実の証明のため、納品書や請求書に「了」、「代済」、「相済」などの記入があるもの
・「お買い上げ票」など、その目的が金銭、有価証券の領収事実を証明するためのもの
 
 売上代金に関わるものは、その金額に応じ200円〜20万円の印紙税がかかります。
 記載されている金額が5万円未満の受取書は、非課税となります。

「金銭または有価証券の受取書」の領域として間違いやすい例を、以下に挙げます。

・クレジット支払いの領収書
 カードでの支払いは、切られた時点ではまだ支払いは完了しておらず、「信用取引」が発生したに過ぎません。そのためクレジット支払いの領収書は該当しません。印紙は不要となります。

・プリペイドカードや商品券を使った支払いの領収書
 これは有価証券の受取と判断されますから、印紙が必要になります。しかしポイントを使った支払いは、金銭や有価証券にあたらないので、印紙は不要です。

・仮領収書
 金銭、有価証券の領収事実を証明するためのものならば、それが「仮」領収書であっても、後に本領収書を発行するか否かに関係なく、印紙税は課税されますので注意してください。

予想より利益が出たので、再来月あたりボーナスを支給したいです。

 

Q 予想より利益が出たので、再来月あたりボーナスを支給したいです。未払賞与として、おおまかな金額を費用計上しておいて問題ありませんか?

A 業績や売上が予想したよりも伸びたとき、従業員の今後のモチベーションアップを図り、その利益を分配して「決算賞与」として支給することは、よくあります。決算の直前ならば、利益の予測が立っているため、効率的に節税対策として使えるでしょう。
しかし原則は、支給が間に合わず後回しにする賞与は、その期の損金にできません。
以下の3つの条件を満たしていれば、例外的に「未払賞与」として今期に計上できますので覚えておきましょう。

・決算日から1ヶ月以内に支給すること
・決算日までに、賞与を支給する従業員全員に対して、その支給額を個別に通知すること
・その通知をした期に損金処理すること

従業員への支払の事実、通知については書類を残しておくことが大切です。
注意しておきたいのが、通知した従業員全員にきちんと支給しなければいけないということです。通知したのに、支給日を待たず退職してしまった従業員に支給しないということがあれば、全額の損金算入は不可となります。

開業費の節税メリットを教えてください。

 

Q 開業費の節税メリットを教えてください。

A 開業費は、自由に好きなタイミングで償却できます。よって、会社の損益に合わせ償却すれば節税になります。

 会社法の「繰延資産」にあたるのが開業費です。会社が出す費用で、その効果が1年以上にわたり及ぶものが、繰延資産です。基本的には、合理的な期間に分けて償却し、その間は資産として計上します。
 
 繰延資産の償却額は、以下の式で計算します。
繰延資産額×その事業年度の月数(支出事業年度は支出日~期末までの月数)/支出の効果の及ぶ期間の月数
 
 開業費の償却期間は原則5年ですので、150万円の開業費で、今期が8ヶ月あるなら、150万円×8/ 60で20万円を償却できることになります。
 以下のような会計処理になります。

(支払時)
開業費 1,500,000/現預金 1,500,000
(期末)
開業費償却 200,000/開業費 200,000

 ただし、開業費は任意での償却が可能なため、全額を損金算入することもできます。設立した年度に黒字の場合は、一括で損金にする処理が一般的でしょう。そうすれば税負担をおさえられます。
 5年が経ってからは償却できないという決まりもないので、赤字の間は償却せず、黒字になった7年目や8年目に一気に償却、ということも可能です。開業費は額の範囲内であれば、いつでも自由に償却することができるのです。

 また、会社を設立する際に支払った「創立費」も同じように任意償却可能です。

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