年末調整について教えていただけますか?
Q 年末調整について教えていただけますか?
A 毎月の従業員への給与支給の際、会社は所得税を源泉徴収しなければなりません。この月々の合計額と、各従業員の給与総額に対し納付が必要な年税額は、おおかた一致しません。そのため、年末(年間給与の総額が確定)にその年に納付すべきな所得税を再計算して、毎月徴収してきた税の合計額額との過不足を算出します。超過分は還付し、不足分は徴収するという定めです。この精算の流れを、「年末調整」といいます。
通常、すべての従業員について行うのが年制度ですが、以下の人は対象外となります。
・年収2,000万円以上の者
・年の途中で退職した者
・扶養控除申告書の提出のない者
大まかな流れをおさえておきましょう。
1.各種控除申告書(「保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」、「扶養控除等(異動)申告書」、「住宅借入金等特別控除申告書」)を従業員から回収します。
2.回収した書類に不備がないか確認し、控除額を算出します。
3.1年間に支給した給与と、賞与などを合計した額、月々徴収してきた税額を確定させます。
4.年税額を計算します。給与の総額から、扶養控除、所得控除、生命保険料控除などの控除額の総額を差し引いて、「課税所得金額」を算出します。千円未満は切り捨ててください。「所得税額の速算表」にあてはめて年税額を算出します。
5.源泉所得税額と年税額の過不足を計算します。既に源泉徴収している所得税額と、4番で算出した年税額との過不足を計算します。所得税額のほうが多額ならば、その金額を還付します。足りない場合は不足額を徴収してください。
所得税額の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195 万円以下 | 5% | 0円 |
195 万円を超え 330 万円以下 | 10% | 97,500 円 |
330 万円を超え 695 万円以下 | 20% | 427,500 円 |
695 万円を超え 900 万円以下 | 23% | 636,000 円 |
900 万円を超え 1,800 万円以下 | 33% | 1,536,000 円 |
1,800 万円超 | 40% | 2,796,000 円 |
[還付金が納税額より多いケース]
還付金は、12月に支払う給与より受領している源泉所得税を財源にして支払います。残額は、翌年の1月10日が期限です。
還付金のほうが12月に徴収した税額よりも多いというケースがあります。このときは、ひとまず会社側が還付金の立て替えをし、従業員に支給するか、翌月の源泉徴収税額が発生してから、相殺するかします(それまでは還付を待ってもらうことになります)。会社の立て替えの場合、1月に納税額は発生しませんが、税務署に対し、超過税額としてマイナスの数字を記載した納付書を提出しなければなりません。「差引納税額」はゼロですので、金融機関は受取を受領してくれません。税務署まで赴くか、郵送で出す必要があります。
会社が立て替えた金額は、翌月の納税額から差し引いて精算します。