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税金を支払うための現金はどのくらい準備しておくべきでしょうか。

 

Q 税金を支払うための現金はどのくらい準備しておくべきでしょうか。

A 実際に手元にある現金と利益とは必ずしも一致しません。そのため、お金が足りなくて税金を支払えないケースもあり得ます。各種納税額は前もって計算し、予算に取り込んでおきましょう。目安は、利益の30〜40%です。
法人は、原則としてその事業年度終了日翌日から、2ヶ月以内に申告、納税することが定められています。この際、税金分の現金を用意しておかなければなりません。
 法人税は、会社の利益から算出されるものです。しかし、多くの場合利益と手元の現金が一致することはないでしょう。現金が多く出ていっているのに対し、費用計上が少ないのが「減価償却資産」です。「売掛金」は回収するまで自由な資金にはなりません。よって、利益が発生しているにも関わらず、現金がなくて税金が払えばないことも起こり得るでしょう。最悪の場合、資金が足りなくて調達も難しければ、「黒字倒産」してしまいます。納税額は前もって計算し、予算に組み込んでおくことが大切です。
 所得に応じ、法人が負担しなければならない税金には、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」があります。税率はそれぞれ異なりますが、3つを合わせ計算する実質的な税率を「実効税率」と呼びます。
 
実効税率の求め方
 実効税率={法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷(1+事業税率)

 支払った年度の費用として、法人事業税は利益から控除できます。

 本社の所在地や資本金額によって変化しますが、実効税率の目安は利益の30〜40%です。税金納付の時にその分の現金を確保しておきましょう。

減価償却とはなんですか?

 

Q 減価償却とはなんですか?

A 減価償却とは、設備投資などの費用を、一定期間に分けて計上する会計処理のことをいいます。
パソコンやコピー機、自動車や建物などの備品は、それを買った時だけでなく、長い期間に渡り使われるものです。購入した年度に全ての額を計上してしまうと、その年度は費用がかかりすぎということになり、しかし翌年からは利益が出過ぎとなり、非合理的な結果を生むでしょう。
こういったことの防止策になる決まりとして、備品の効果が及ぶ期間(=耐用年数)に分けて、それぞれ費用計上していくのが、減価償却です。

原則として、固定資産の購入に10万円以上かかる場合、減価償却しなければなりません。
減価償却の方法には二種類あります。

・定額法
毎年、同「額」減価償却する方法です。毎年一定額が費用計上されます。
(取得価額―残存価額)÷耐用年数

・定率法
毎年、同「率」減価償却する方法です。償却にかかる額は始めの年に高く、その後低減していきます。
(取得価額―前年までの償却費の合計額)×償却率
※算出された償却額が「償却保証額」(取得価額に当該資産の耐用年数に即した保証率を乗じた額)に満たなくなった年の分より以後は、低減せず、毎年同額となります。

平成24年4月1日以降に取得した償却資産については、定額法償却率を2.0倍した定率法償却率とする方法(=200%定率法)が適用されています。これまでは、250%でした。

固定資産の種類によって、定められている償却率と耐用年数は違います。
たとえば、100万円のコピー機を、リースではなく購入する場合、耐用年数は5年(定額法償却率0.2、定率法償却率0.4)ですので、算出方法は以下となります。

 

1年目

2年目

3年目

4年目

5年目

残存価額

定額法

200,000

200,000

200,000

200,000

199,999

1

定率法

400,000

240,000

144,000

108,000

107,999

1

残存価額の1円は、備忘価額として帳簿に残しておくためのものです。
す。

 定額法と定率法、どちらを使うかは、「減価償却資産の償却方法の届出」を税務署に提出することによって決定できます。提出しない場合は「法定償却方法」をとることになります。

なお特例があり、中小企業などは青色申告法人のため、30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)については、取得価額を損金にすることが可能です。ただし、限度額が合計300万円と定められています。

開業費の節税メリットを教えてください。

 

Q 開業費の節税メリットを教えてください。

A 開業費は、自由に好きなタイミングで償却できます。よって、会社の損益に合わせ償却すれば節税になります。

 会社法の「繰延資産」にあたるのが開業費です。会社が出す費用で、その効果が1年以上にわたり及ぶものが、繰延資産です。基本的には、合理的な期間に分けて償却し、その間は資産として計上します。
 
 繰延資産の償却額は、以下の式で計算します。
繰延資産額×その事業年度の月数(支出事業年度は支出日~期末までの月数)/支出の効果の及ぶ期間の月数
 
 開業費の償却期間は原則5年ですので、150万円の開業費で、今期が8ヶ月あるなら、150万円×8/ 60で20万円を償却できることになります。
 以下のような会計処理になります。

(支払時)
開業費 1,500,000/現預金 1,500,000
(期末)
開業費償却 200,000/開業費 200,000

 ただし、開業費は任意での償却が可能なため、全額を損金算入することもできます。設立した年度に黒字の場合は、一括で損金にする処理が一般的でしょう。そうすれば税負担をおさえられます。
 5年が経ってからは償却できないという決まりもないので、赤字の間は償却せず、黒字になった7年目や8年目に一気に償却、ということも可能です。開業費は額の範囲内であれば、いつでも自由に償却することができるのです。

 また、会社を設立する際に支払った「創立費」も同じように任意償却可能です。

小切手はどのように扱ったらよいでしょうか?

 

Q 小切手はどのように扱ったらよいでしょうか?

A 会社間の取引においては、小切手・手形も現金と同様に通貨として使用できます。起業してまもないと、小切手・手形を振り出すことは皆無ですが、営業していく中で受け取ることはあるでしょう。小切手・手形は、その間違った扱いによりトラブルが引き起こされ、会社の資金繰りに悪影響を及ぼすこともあるので、基礎知識についてきちんとおさえておきましょう。

[小切手]
小切手とは、振出人(=発行人)が受取人に、お金の支払いを委託された証券のことを指します。多額の現金の持ち運びはリスキーですので、支払証券のやり取りによって決済を行うのです。受け取った小切手は、銀行で現金に換えます(預金口座に入金)。しかし現金として使えるのは2〜3日後です。
小切手を受け取ったら、はじめに法律で定められた、「振出日」、「振出人の氏名」、「支払金額」、「印鑑」の要件が整っているかチェックしてください。小切手は、原則として銀行に振出日の翌日より10日以内に持っていかなければなりません。紛失に注意し、早めの持参を心掛けてください。ですが、取引先との了解のもと、この振出日が未来の日付に設定されているケースもあります。気をつけてください。
また、紛失や盗難により、違法な手段で第三者が入手したとしても、その者が銀行に赴き、提示をしたら通常通り換金されてしまいます。「線引き」という制度がこれを防ぐために存在します。小切手の右上の角に2本の平行線を引くというものです。線引小切手は、持参した者の預金口座保持が必須条件となります。万が一、盗難された小切手が持参されても、犯人を追跡することができるので安全性が高いといえます。

[手形(約束手形)]
小切手と同じように、振出人(=発行人)が受取人に、お金の支払いを委託された証券のことを指します。
後日での決済を前提としていることが小切手とは異なります。現金になり入金されるには、記載されている期日(振出日から90日後、120日後、180日後など)まで待たなければなりません。受取人は銀行に赴き現金化の手続き(取立の依頼)をします。依頼を受けた銀行は、手形交換所という場所を介して振出人の当座預金口座から現金を引き出すという流れです。取立の依頼は、支払期日の前ならば早い機会でも問題ありません。
 手形は長期に渡り現金化されないため、資金繰りへの影響が懸念されます。そこで活用すべきなのが「手形割引」制度です。これは、銀行などに支払期日前の手形を譲渡することによって、支払期日までの利息相当額を減算した金額で売ることができるというシステムです。手形割引を行うには、取引銀行との前もった手形取引約定書の締結が必須となります。

売掛金の回収をスムーズに行うコツはありますか?

 

Q 売掛金の回収をスムーズに行うコツはありますか?

A 日頃から管理することがとても大切になります。売掛金は時間の経過とともにその回収率が低くなりますので、得意先からの支払いが遅れた場合は、初期段階ですばやく行動することが重要です。
売掛金の状況把握には、得意先ごとの「売掛金管理台帳(得意先元帳)」の作成が必要です。売掛金管理台帳をしっかりと管理していれば、間違った金額で請求書を出したり、督促してしまうこともありません。回収の遅延が分かり次第、早めの対応をすることで、回収率は高められるでしょう。

[売掛金が回収できないとき]
 支払いが遅延している得意先には、分かり次第早めに電話を入れるなどし、確認しましょう。督促しても応じない場合は、法的な手段を考える前に、できるだけ話し合いの場を探しましょう。支払い不可の理由を聞けたら、どんな方法なら支払えるのか確かめましょう。
もしも話し合いができない時や、話し合いでの約束が守られなかった場合は、「内容証明郵便」を送る方法があります。差出先と宛先、文書の内容、投函日時を郵便局が証明してくれるサービスを、内容証明郵便といいます。このシステムを使えば、「請求書は届いていない」などといった水掛け論を回避できますし、売掛金請求の時効を延長できます。売掛金の時効は2年間です。支払期限より2年経過したとき相手側がこの時効を遵行すると、売掛金が法律上、消滅してしまいます。
 容証明郵便の送付により、時効は6ヶ月間延ばせます。
以上の対策を講じても、相手先から回収ができないときは、「貸倒損失」として計上しましょう(「完全に回収が不能であることが客観的に確定」されなければ認められません)。帳簿上、利益の出ている売掛金ですが、回収できないものにも税金がかかるので、注意が必要です。

「黒字倒産」を防ぐためには、どういったことを心掛ければよいですか?

 

Q 「黒字倒産」を防ぐためには、どういったことを心掛ければよいですか?

A 黒字倒産とは、利益があり、決算も黒字なのに、資金繰りができなくなり倒産に追いやられることです。日本の企業倒産の50%以上が、この黒字倒産といわれています。
黒字倒産になってしまう原因は、入金と出金のタイミングのズレにあります。このズレから資金不足に陥り、倒産という末路をたどるのです。
会社は「発生主義」に基づき処理されますので、取引の発生したそのタイミングで、売上や仕入れの計上を行います。この時、現実のお金の動きとは異なります。よって、たとえ損益計算上に利益が発生していても、その経費の支払いが入金よりも早い場合、資金は不足するという事態になってしまいます。

こういったケースを防ぐために心掛けたいのが、「資金繰り表」を活用することです。資金繰り表とは、未来の現金収入・支出を予測し、その結果を書きまとめたものです。

足りなくなる資金の金額、その時期などがあらかじめ予測できるため、早めの対応策を練ることができるでしょう。
最低でも、資金繰りについては、3ヶ月先までの状況を把捉しておくことが大切です。
資金繰り表の作成にあたっては、定められた形式はないです。Excelに代表される表計算ソフトを利用するのが、集計の際の利便性を考慮すると、相応しいでしょう。

もし資金繰りが不安定な状態になったら、できるだけ早い対応策を練りましょう。
・資産の売却
・支払いの遅延
・売掛金の早期回収
・金融機関からの借入
以上の方法などを駆使し、手元に現金を確保しましょう。

また、現金確保のために動くのと同時に、資金不足の原因を解明することがとても大切です。これを疎かにして資金集めだけに奮闘しても、その場しのぎの結果になり、同じ轍を踏むことになるでしょう。

会社におけるお金の管理のコツはありますか?

 

Q 会社におけるお金の管理のコツはありますか?

A 個人事業の場合は、プライベートのお金と事業のお金とに区別はないです。売上と費用の計算後、残存するお金は自由に使えます。ですが、法人ではプライベートでお金を使うことはできません。個人のお金と会社のお金はしっかり分離して管理しましょう。
会社の経理負担を抑えながらお金を管理するコツを心得ておきましょう。

・口座振替の利用
現金の動きを抑えると、経理担当者の負担は減ります。帳簿付けの作業が、最も手間がかかりますが、たとえば電気料金の支払いを現金で行う場合、現金を預金より引き出し、支払いをし、つり銭を銀行に戻す、というように三度の取引が発生します。口座振替を利用すれば、銀行から引き落とされたとき、一度だけの帳簿付けで終わります。銀行へ赴く手間もなくなります。
現金の場合、残高確認のためには手で数えなければなりませんが、銀行預金だと通帳を確認するだけです。
口座振替の利用は積極的にしましょう。

・法人用カードの利用
口座振替が不可で、現金支払が必須なものもあります。こういう場合にオススメなのが法人用クレジットカードです。会社の口座を、引き落としの口座として利用できるので、メリットがあります。カード利用の際、「利用明細書」の送付があり、記帳の負担が減ります(お店が発行したカード利用明細書や請求書などの保管は必要です)。
ただし個人カードよりも審査のハードルが高いのが法人用カードです。置かれている状況、条件によっては利用できない可能性もあります。
そういう時は、個人名義のカードを会社用カードとみなして使うのがよいでしょう。会社専用の個人口座を作り、私的な利用を一切しないようにします。

事業開始後に融資を受けようと考えていますが、とくに問題はないでしょうか?

 

Q 事業開始後に融資を受けようと考えていますが、とくに問題はないでしょうか?

A 期中の運転資金の借り入れは難しいケースもあります。カツカツの自己資金での開業でしたら、創業時に創業融資を利用できる場合がありますので検討してください。
各機関の融資制度についてチェックしておきましょう。

民間の金融機関
 おそらく真っ先に思い浮かぶのが民間の金融機関だと思います。利率が低いという特徴を持つ都市銀行は制度の種類も豊富です。その他の機関の特徴をまとめました。

都市銀行・・・
金利が安価。営業力、技術力よりも財務内容の 監査が厳しい。融資の審査はとても速く、数日以内に回答され、1週間ほどで実行される。大企業向け。
地方銀行・・・
規模が大きめの中小企業や、地元の大企業向け。融資を担当する者との信頼関係が大事。
信用金庫・・・
敷居の低さが特徴。地方銀行と同じく信頼関係が大事。
ノンバンク・・・
金利が高価。審査基準が比較的やさしく、短期間で借り入れ可能。返済額に注意を。

日本政策金融公庫、地方自治体の制度融資
日本政策金融公庫とは、株式の100%すべてを政府が出資している金融機関です。
小口の事業資金の融資など、個人の事業者にたいして支援を行っており、特に開業資金を民間の金融機関から借りるのが難しい時にとても役立ちます。
「新創業融資制度」は、これから事業をスタートする会社、スタートして間もない(2期の税務申告を完了していない)会社が、無保証無担保で融資を受けることのできる制度です。中小企業や担保(不動産など)を持たない個人がとても借りやすい制度ですが、金利が高額で、返済期間が長くても7年と短いことなど、デメリットもあるので注意が必要です。
 また、「新規開業資金」という金利の安い融資もあります。保証人がいて会社が大きくなる見込みがある場合は検討しましょう。

どちらにせよカツカツの資金で始めて、お金がなくなったら借りるというのは危険です。スタート時に融資を受けるチャンスを逃さないようにしましょう。融資には書類準備や審査など、十分な時間が必要ですし、会社としての実績がない間は開業時にくらべ、借りるのが困難となる場合があります。
 
加えて、「制度融資」という地方自治体の制度を使い銀行から借り入れをする方法もあります。これは、銀行などの金融機関、信用保証協会、地方自治体の三者が協同で資金を貸してくれる制度です。実績がなく、財務基盤が弱いことで融資が通りにくい時に活用するとよいです。「日本政策金融公庫」に比べ審査基準が高く設定されていますが、その自治体によっては金利が安いなどのメリットも。ありますので、吟味してみましょう。
限度額や条件は各都道府県や市町村により様々です。ホームページや窓口でしっかり確認してください。

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