私たち夫婦は母と、某ターミナル駅より徒歩圏内にあるビルの最上階(10階)で暮らしていました。いわゆるペントハウスで、1フロアにつき1世帯のペンシルビルでした。ビルの1階から9階までは、賃貸としていました。ビル建築当時、母は既に高齢でしたので相続税対策も念頭にありましたが、不動産業者から教わった小規模宅地等の特例の適用を受ければ、ビルの敷地全てが自宅として減額対象とされますので安心していました。しばらくすると母が死去し、私がこのビルを相続することとなりました。この地域の地価は高額ですが、小規模宅地等の特例の適用を受ければ土地が2割評価で済むことから、相続税の納税資金が不足することはないだろうと考えていました。しかし、税理士に相続税の申告をお願いする際に税制改正があったことを初めて認識しました。それまではビルの敷地全てが2割評価となると考えていましたが、税制改正により実際には10階部分に相当する敷地のみが2割評価となり、9階までの貸家部分に相当する敷地は5割評価になるだけでした。予想外の土地の評価により相続税の納税資金が不足しましたので、他の不動産を何とか売り、相続税を納めました。売った不動産は高収益物件でしたので、以後の資金収入が大きく減ることになってしまいました。税制改正に関する情報をタイムリーに把握しておくべきだったのでしょうか?
Q.
私たち夫婦は母と、某ターミナル駅より徒歩圏内にあるビルの最上階(10階)で暮らしていました。いわゆるペントハウスで、1フロアにつき1世帯のペンシルビルでした。ビルの1階から9階までは、賃貸としていました。ビル建築当時、母は既に高齢でしたので相続税対策も念頭にありましたが、不動産業者から教わった小規模宅地等の特例の適用を受ければ、ビルの敷地全てが自宅として減額対象とされますので安心していました。
しばらくすると母が死去し、私がこのビルを相続することとなりました。この地域の地価は高額ですが、小規模宅地等の特例の適用を受ければ土地が2割評価で済むことから、相続税の納税資金が不足することはないだろうと考えていました。しかし、税理士に相続税の申告をお願いする際に税制改正があったことを初めて認識しました。それまではビルの敷地全てが2割評価となると考えていましたが、税制改正により実際には10階部分に相当する敷地のみが2割評価となり、9階までの貸家部分に相当する敷地は5割評価になるだけでした。
予想外の土地の評価により相続税の納税資金が不足しましたので、他の不動産を何とか売り、相続税を納めました。売った不動産は高収益物件でしたので、以後の資金収入が大きく減ることになってしまいました。税制改正に関する情報をタイムリーに把握しておくべきだったのでしょうか?
A.
相続対策も兼ねてビルを建築、利用していたものの、税制改正を把握していなかったことが問題です。ご質問者は、小規模宅地等の特例を念頭に、自分は最上階のペントハウスで暮らし、階下を賃貸としていますが、税制改正で評価が大きく上がっていますので、税制改正に関する情報をタイムリーに収集し、相続対策や納税資金対策を改めて検討する必要がありました。
平成22年の税制改正前であれば、ビルの一部が被相続人の自宅である場合、ビルの敷地全体について居住用の小規模住宅等の特例が適用され、敷地が2割評価とされていました。しかし、改正後には利用区分ごとに判定することとなりました。
ご質問のケースについては、改正前であれば10階を被相続人である母の居住用として用いていましたので、敷地全体が2割評価とされたということになります。しかし、改正後には利用区分ごとに判定するよう適用が厳格化されたことから、10階部分に相当する敷地は2割評価とされ、賃貸用である9階までに相当する部分は5割評価で算出することとされました。
改正前であればペントハウスで暮らしている場合には大幅な減額となりましたので、大きな影響のある税制改正でした。