Q.私の夫が先日死去しました。元来夫の実家は資産家で、次男である夫は長男には及ばないものの先祖代々の不動産を相続しており、相続財産は約3億円ありました。相続税がかかると夫が存命中に聞いていましたので、インターネットや市販の書籍で調べ、土地の評価は路線価でなされることや、相続後の固定資産税額や葬式費用については相続財産から控除できることを知っていました。ある書籍に、お墓や仏壇には税金がかからないとの記載がありましたので、夫の存命中に購入しようと思い、夫に相談していました。しかし、夫は元気であったために具体的にお墓を探すことはしていないまま、夫の体調が突然悪くなり、入院してしまいました。税金を納めるくらいであればと、高価なお墓、仏壇を購入することを決め、申し込んだところで夫が死去しました。お墓や仏壇の領収書については、夫の死去後に納めた固定資産税の納付書や葬式費用の領収書と一緒に保管しておきました。しばらくして、相続税の申告手続を税理士に依頼したところ、書類の準備をするように言われ、保管していた書類を渡しました。すると、お墓や仏壇の領収書は相続税の計算に無関係であると指摘されてしまいました。夫の死去後に支払いをした場合、債務として控除することはできないのでしょうか?

 

Q.
 私の夫が先日死去しました。元来夫の実家は資産家で、次男である夫は長男には及ばないものの先祖代々の不動産を相続しており、相続財産は約3億円ありました。相続税がかかると夫が存命中に聞いていましたので、インターネットや市販の書籍で調べ、土地の評価は路線価でなされることや、相続後の固定資産税額や葬式費用については相続財産から控除できることを知っていました。ある書籍に、お墓や仏壇には税金がかからないとの記載がありましたので、夫の存命中に購入しようと思い、夫に相談していました。しかし、夫は元気であったために具体的にお墓を探すことはしていないまま、夫の体調が突然悪くなり、入院してしまいました。税金を納めるくらいであればと、高価なお墓、仏壇を購入することを決め、申し込んだところで夫が死去しました。お墓や仏壇の領収書については、夫の死去後に納めた固定資産税の納付書や葬式費用の領収書と一緒に保管しておきました。
 しばらくして、相続税の申告手続を税理士に依頼したところ、書類の準備をするように言われ、保管していた書類を渡しました。すると、お墓や仏壇の領収書は相続税の計算に無関係であると指摘されてしまいました。夫の死去後に支払いをした場合、債務として控除することはできないのでしょうか?

A.
 一般的に、相続が開始すれば、被相続人に属していた相続財産は、相続人に包括的に承継されます。祭祀財産は、通常の相続財産とは違い、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するものとして、民法第897条に承継手続が規定されています。同法同条第1項に定められている「系譜」、「祭具」、「墳墓」のことを祭祀財産といいます。系譜とは家系図などのことで、祭具とは位牌や仏壇など祭祀や礼拝に用いるもののことです。そして、墳墓とは墓石や墓碑など遺体や遺骨を葬っている設備のことであり、これらを、慣習に沿って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継することとされています。
 相続税法上は、墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるものは非課税となっています。非課税とされるものの例として、次のものが挙げられます。
○墓所、霊廟関係…墓地、墓石、おたまや
○墓所、霊廟に準ずるもの…仏壇、位牌、仏像、庭内神し、神だな、神体、神具
 一方、非課税とされないものの例として、商品、骨董品又は投資目的で所有するもの(金の仏像など)が挙げられます。
 被相続人が残した借入金や未払金といった債務は、相続財産から控除できるのが原則です。ただし、相続税の非課税財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額については、相続税の債務控除の対象にはなりません。なぜなら、相続税が非課税とされている財産に係る債務についてまで控除できることとすれば、実質的には二重に控除できることになるからです。
 また、相続人が負担した葬儀関係の費用については、被相続人の死去に伴う必然的な支出であることを考慮し、相続財産から控除できることになっています。領収書がないもの(御布施など)は、メモ書きを保存しておかなければなりません。葬式費用とされるものとして、次のようなものがあります。
○御通夜や告別式の費用、葬儀の料理代
○御布施、戒名代
○火葬料、埋葬料、納骨料
 一方、次のものは葬式費用に該当しません。
○位牌や仏壇、墓石の購入費用
○香典返し
○法事(初七日、四十九日)に関する費用

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