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会社設立の際、税務署に提出する書類にはどういったものがありますか?

 

Q 会社設立の際、税務署に提出する書類にはどういったものがありますか?

 

A 以下のようなものがあります。

・青色申告の承認申請書

・法人設立届出書

・給与支払事務所等の開設届出書(任意)

・棚卸資産の評価方法の届出書(任意)

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(任意)

・減価償却資産の償却方法の届出書(任意)

 

これらの届出書には提出の期限が決まっているものがあり、「法人設立届出書」は設立してから2ヶ月まで、「青色申告の承認申請書」は3ヶ月までとなっています。きちんと確認して準備は早めにしましょう。これら届出用紙は、国税庁のサイトから取るか、近くの税務署で手に入れてください。

これらはすべて国税に関するものです。しかし、会社設立後は国税だけではなく地方税も支払わなければなりません。

地方税の届出は、会社本店がある道府県税事務所と、市区町村の役所で行います。

書類の形式は各所で異なります。しかし内容は税務署に届け出た設立届出書とほぼ一緒です。

また、設立時にたった1人でも従業員を雇いたいとき、労働保険加入の手続きが必須です。社会保険(厚生年金保険、健康保険、介護保険、)の加入手続きが必要ならば、年金事務所に行ってください。

 

各種書類の提出先(提出期限)

 

法人設立届出書・・・税務署(2ヶ月以内)

定款のコピー、設立時の貸借対照表、株主名簿、登記事項証明書の添付が必要

給与支払事務所などの開設届出書・・・税務署(給与支払事務所開設日から1ヶ月以内

棚卸資産の評価方法の届出書・減価償却資産の償却方法の届出書・・・税務署(設立第1期の確定申告書の提出期限まで。法定による場合は提出不要)

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書・・・税務署(従業員10人未満の場合、適用を受けようとする月の前月まで)

青色申告の承認申請書・・・税務署(3ヶ月以内)

法人設立届出書・・・都道府県税事務所(都道府県によって異なる)

定款のコピー、登記事項証明の添付が必要

法人設立届出書・・・市区町村の役所(市町村によって異なる)

東京23区は除かれます。定款のコピー、登記事項証明の添付が必要

節税対策を行うのに、決算業務を始めてからでは遅いでしょうか?

 

Q 節税対策を行うのに、決算業務を始めてからでは遅いでしょうか?

A はい。節税対策を行なうのなら、決算日後に動き出してもほとんど無駄といっていいでしょう。決算日後に実施できても、効果はとても小さいです。
 節税対策を実施したい場合は、あらかじめ経営状態を確認し、どんな方法がよいか検討しておきましょう。
 

[主な節税対策]
・先行投資
 設備投資などを行い、利益の圧縮を図ります。もし減価償却資産を購入したら、その全額は損金算入できないので注意が必要です。購入~決算期まで、期間が短いほど償却可能な金額も抑えられます。覚えておきたいのが、資金が流出するため、キャッシュフローが悪くなることです。

・消耗品の購入
 包装材料、広告宣伝用印刷物、事務用の消耗品などを買い、費用に計上しましょう。本来は消耗品などは買った年度ではなく、使った年度の費用として、計上しなければなりませんが、そうすると在庫の正確な管理が困難になります。
以下の要件を満たしていれば、購入した年度の費用として使用できます。
1.毎年継続して、購入した年度の費用として計上すること
2.各事業年度ごとにおおむね一定数量を購入していること
3.毎年経常的に消費するものであること

・短期前払費用の特例
 継続している取引について、サービスの提供をまだ受けていないにもかかわらず、支払が完了している費用のことを、「前払費用」といいます。本当ならば、支払した際に資産計上し、サービスの提供を受けたらその時に費用とすべきものです。しかし、保険料や地代家賃など、支払日から1年以内にそのサービスの提供を受けるものは、「短期前払い費用の特例」によって、支払事業年度の損金算入が許可されます。例えば、期末にこの先1年分の家賃の支払いをして、全額を費用計上します。

・未払費用の計上
 この節税対策は決算の後からでも実施することができます。もう買っていたり、サービスを受けているのに、支払がまだ済んでいない費用のことを、「未払費用」といいます。原則として、かかった費用はすべてその期の決算に反映させます。つまり、原則通り費用計上します。例えばや社会保険料、公共料金、人件費などは未払費用になります。

 その他に、消費税の選択や、開業費・創立費の償却(質問53参照)なども対策の一つです。
もしも経営初年度から大きな利益が出る見込みがあり、節税対策を実行したいのであれば、税理士に早めに相談するが吉でしょう。

事業年度が1年未満の場合、決算業務の留意点について教えてください。

 

Q 事業年度が1年未満の場合、決算業務の留意点について教えてください。

A 会社設立初年度は、事業年度が1年未満であることが多く、計算方法で注意しなければいけない点があります。

・減価償却
 減価償却費の計算方法です。
取得価額×償却率×実際に使った月数/12
 1年未満の事業年度の場合、償却率は変わります。
償却率×当期の月数/12
 で計算しましょう(改定償却率)。
 さらに、月ごとに按分しなければなりません。
取得価額×改定償却率×事業の用に供した日から期末までの月数/事業年度の月数

・一括償却資産
 資産の取得額が10万円以上20万円未満のもの(減価償却の対象となるもの)は、3年間で均等に償却することができ、これを「一括償却資産」といいます。
 次の式で計算されます。
一括償却資産の取得価額の合計額×事業年度の月数/36

・交際費の定額控除限度額
 中小法人は、年間800万円まで交際費について全額、損金に算入できます。
 事業年度が1年未満の場合、
800万円×事業年度の月数/12
で計算した金額が限度額です。

・法人税の軽減税率が適用される課税所得
 中小法人(資本金1億円以下の法人)は、法人税の軽減税率が適用できます。年間800円までの所得に対しては、15%(通常は25.5%)の税率で計算されます。
 事業年度が1年未満の場合、
800万円×事業年度の月数/12
で計算した額になります。

・少額減価償却資産の特例の限度額
 少額減価償却資産の特例により、青色申告法人の中小法人は、取得価額が30万円未満の備品等を一括で損金算入できることになっています(年間300万円が限度額です)。
 事業年度が1年に満たない場合の限度額は、次の式で計算されます。
300万円×事業年度の月数/12

税金を支払うための現金はどのくらい準備しておくべきでしょうか。

 

Q 税金を支払うための現金はどのくらい準備しておくべきでしょうか。

A 実際に手元にある現金と利益とは必ずしも一致しません。そのため、お金が足りなくて税金を支払えないケースもあり得ます。各種納税額は前もって計算し、予算に取り込んでおきましょう。目安は、利益の30〜40%です。
法人は、原則としてその事業年度終了日翌日から、2ヶ月以内に申告、納税することが定められています。この際、税金分の現金を用意しておかなければなりません。
 法人税は、会社の利益から算出されるものです。しかし、多くの場合利益と手元の現金が一致することはないでしょう。現金が多く出ていっているのに対し、費用計上が少ないのが「減価償却資産」です。「売掛金」は回収するまで自由な資金にはなりません。よって、利益が発生しているにも関わらず、現金がなくて税金が払えばないことも起こり得るでしょう。最悪の場合、資金が足りなくて調達も難しければ、「黒字倒産」してしまいます。納税額は前もって計算し、予算に組み込んでおくことが大切です。
 所得に応じ、法人が負担しなければならない税金には、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」があります。税率はそれぞれ異なりますが、3つを合わせ計算する実質的な税率を「実効税率」と呼びます。
 
実効税率の求め方
 実効税率={法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷(1+事業税率)

 支払った年度の費用として、法人事業税は利益から控除できます。

 本社の所在地や資本金額によって変化しますが、実効税率の目安は利益の30〜40%です。税金納付の時にその分の現金を確保しておきましょう。

簿記の知識があれば、会社の確定申告・決算を自分で行うことは容易ですか?

 

Q 簿記の知識があれば、会社の確定申告・決算を自分で行うことは容易ですか?

A 容易ではありません。法人の決算、申告、納税作業を自社で行なうことは、個人の税務申告に比べ、はるかに時間と手間がかかります。申告ミスが発覚したり、納税の期限を過ぎてしまうと、ペナルティがありますので注意してください。時間に余裕を持ち、臨みましょう。

該当する月の取引がすべてまとめられた決算書を作り、帳簿を締め切る手続きのことを、決算といいます。
この決算により、納税額を確定します。「消費税」「法人税」「法人事業税」「法人住民税」が主な税金です。申告納税制度により、会社は自身で課税の対象となる所得金額と税金を計算し、税務署などに届け出る必要があります。
会社の事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内が、税務署への申告と、税の納付の期限です。3月に決算がある会社でしたら、5月31日がその期限となります(期限の日が土・日・祝日の時はその翌日)。
申告期間内の提出を忘れると、青色申告法人の欠損金額の繰越控除などの特典が利用できませんので、注意が必要です。もし決算確定が期限までに終わらない時は、申請書を出すことにより、1ヶ月の期限延長が可能です(法人税、法人住民税、法人事業税に限られる)。しかし納付の期限延長は不可です。

申告書の提出先と期限

科目 提出先 提出期限 納付期限
法人税 税務署 その事業年度

終了日の

翌日から

2 ヶ月以内

同左
消費税 税務署
法人住民税 都道府県民税 … 都道府県税事務所

市町村民税 … 市町村

法人事業税 都道府県税事務所

[決算~申告の流れ]
試算表作成
 「試算表」とは、各勘定科目の残高を集計したものです。試算表を作ることにより、期中の取引が正確に記録されているか検証します。
   ↓
決算整理
 売上原価、減価償却の計算などをします。
 決算書を正確に作成するため、若干の修正仕訳が必要です。
   ↓
決算書の作成
 帳簿を締め切ります。そして、今期の「損益計算書」「貸借対照表」を作成します。
   ↓
税務申告書の作成
 法人の税務申告書は、決算報告書、勘定内訳明細書、税務申告書で1つのセットになります。申告書類を入手するには、窓口に赴くか、管轄の税務官庁から送られてくるので、それを使いましょう。
   ↓
申告書提出・納税
 2部作成して、そのうち1部を提出しましょう。1部は控えにして、税務署などの受領印を捺印してもらいましょう。期限を守って提出、納税することが大切です。

 法人の税務申告はその手間と時間のかかりようから、税理士に依頼する場合が多いです。期中の記帳、会計管理は自らでできても、決算、申告は特にそうです。仮に自社で行うときは、時間配分をきっちりと考え、余裕をもってできるように予定を組みましょう。ペナルティがありますので、期限は必ず守らなければなりません。

減価償却とはなんですか?

 

Q 減価償却とはなんですか?

A 減価償却とは、設備投資などの費用を、一定期間に分けて計上する会計処理のことをいいます。
パソコンやコピー機、自動車や建物などの備品は、それを買った時だけでなく、長い期間に渡り使われるものです。購入した年度に全ての額を計上してしまうと、その年度は費用がかかりすぎということになり、しかし翌年からは利益が出過ぎとなり、非合理的な結果を生むでしょう。
こういったことの防止策になる決まりとして、備品の効果が及ぶ期間(=耐用年数)に分けて、それぞれ費用計上していくのが、減価償却です。

原則として、固定資産の購入に10万円以上かかる場合、減価償却しなければなりません。
減価償却の方法には二種類あります。

・定額法
毎年、同「額」減価償却する方法です。毎年一定額が費用計上されます。
(取得価額―残存価額)÷耐用年数

・定率法
毎年、同「率」減価償却する方法です。償却にかかる額は始めの年に高く、その後低減していきます。
(取得価額―前年までの償却費の合計額)×償却率
※算出された償却額が「償却保証額」(取得価額に当該資産の耐用年数に即した保証率を乗じた額)に満たなくなった年の分より以後は、低減せず、毎年同額となります。

平成24年4月1日以降に取得した償却資産については、定額法償却率を2.0倍した定率法償却率とする方法(=200%定率法)が適用されています。これまでは、250%でした。

固定資産の種類によって、定められている償却率と耐用年数は違います。
たとえば、100万円のコピー機を、リースではなく購入する場合、耐用年数は5年(定額法償却率0.2、定率法償却率0.4)ですので、算出方法は以下となります。

 

1年目

2年目

3年目

4年目

5年目

残存価額

定額法

200,000

200,000

200,000

200,000

199,999

1

定率法

400,000

240,000

144,000

108,000

107,999

1

残存価額の1円は、備忘価額として帳簿に残しておくためのものです。
す。

 定額法と定率法、どちらを使うかは、「減価償却資産の償却方法の届出」を税務署に提出することによって決定できます。提出しない場合は「法定償却方法」をとることになります。

なお特例があり、中小企業などは青色申告法人のため、30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)については、取得価額を損金にすることが可能です。ただし、限度額が合計300万円と定められています。

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