従業員に支払う給与から差し引かなければならないものはなんですか?

 

Q 従業員に支払う給与から差し引かなければならないものはなんですか?

A 会社において、従業員に毎月一度以上、一定の期日で給与を支給しなければなりません。その際、以下のものを控除する(差し引く)ことが定められています。

<税金>
・住民税
市区町村より通知される「特別徴収税額通知書」にもとづき、毎月控除をする。これは前年の所得にかかります。
・所得税
「源泉徴収制度」(個人の給与から、あらかじめ会社が差し引いて、個人の代わりに納める)によります。個人の所得にかかります。

<社会保険>
・健康保険
怪我、病気にかかる費用の自己負担を軽減する制度です。中小企業などは「協会けんぽ」に、大企業などは「組合管掌健康保険」に加入します。個人の報酬月額、保険料額表から保険料が決定されます。
会社負担分と、給与から天引きした額とを足した当月分が、翌月末までの支払いになります。これは厚生年金保険、介護保険も同様です。
・雇用保険
雇用の安定、そして労働者の生活を守る制度です。もしも失業してしまったら、失業手当(基本手当)を受給できるためのシステムです。
被保険者負担率(一般の事業は1000分の5)に個人の給与を掛け、計算します。
労働者災害補償保険と雇用保険の保険料は、年度の初めに概算の保険料を申告・納付し、翌年度の初めに精算という方法をとります。
・厚生年金保険
公的年金制度で、民間企業が加入します。遺族、障害、老齢に対する保障があります。
・介護保険
40歳以上からの加入が定められています。

毎月の給与は、定めた支払日に、固定的な給与(「基本給」など)に変動的な給与(「残業手当」「通勤手当」など)を加えた額から、上に挙げた控除額の合計を差し引き、支給しましょう。
健康保険、厚生年金保険、介護保険は、前月分の保険料から控除するという定めのため、支払われる者の入社した次の月からの控除となります。雇用保険料については入社した月からの控除となります。

従業員からの信用が無くなってしまうおそれがありますので、控除のミスには十分注意しましょう。また、所得税の控除を忘れると、会社が個人に代わり納税しなければなりません。給与の支給は毎月行なう手続きです。間違いを起こさないために、日程を組んで作業できるようにしましょう。

[給与の支給手続きの主な流れ]
締日として毎月決まった日を設定(「毎月○日」)し、従業員の1ヶ月間の勤怠をまとめます。
    ↓
固定的給与(「基本給」など)、変動的給与(「残業手当」「通勤手当」など)を算出します。
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総支給額から、社会保険料の控除額と源泉徴収額を算出します。
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給与明細書を作成します。
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振込での支給の場合は金融機関で手続きを、現金支給の場合は現金を用意します。
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定めた給料日に支給します。この時、給与明細書を渡します。
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