Posts Tagged ‘決算’

「黒字倒産」を防ぐためには、どういったことを心掛ければよいですか?

 

Q 「黒字倒産」を防ぐためには、どういったことを心掛ければよいですか?

A 黒字倒産とは、利益があり、決算も黒字なのに、資金繰りができなくなり倒産に追いやられることです。日本の企業倒産の50%以上が、この黒字倒産といわれています。
黒字倒産になってしまう原因は、入金と出金のタイミングのズレにあります。このズレから資金不足に陥り、倒産という末路をたどるのです。
会社は「発生主義」に基づき処理されますので、取引の発生したそのタイミングで、売上や仕入れの計上を行います。この時、現実のお金の動きとは異なります。よって、たとえ損益計算上に利益が発生していても、その経費の支払いが入金よりも早い場合、資金は不足するという事態になってしまいます。

こういったケースを防ぐために心掛けたいのが、「資金繰り表」を活用することです。資金繰り表とは、未来の現金収入・支出を予測し、その結果を書きまとめたものです。

足りなくなる資金の金額、その時期などがあらかじめ予測できるため、早めの対応策を練ることができるでしょう。
最低でも、資金繰りについては、3ヶ月先までの状況を把捉しておくことが大切です。
資金繰り表の作成にあたっては、定められた形式はないです。Excelに代表される表計算ソフトを利用するのが、集計の際の利便性を考慮すると、相応しいでしょう。

もし資金繰りが不安定な状態になったら、できるだけ早い対応策を練りましょう。
・資産の売却
・支払いの遅延
・売掛金の早期回収
・金融機関からの借入
以上の方法などを駆使し、手元に現金を確保しましょう。

また、現金確保のために動くのと同時に、資金不足の原因を解明することがとても大切です。これを疎かにして資金集めだけに奮闘しても、その場しのぎの結果になり、同じ轍を踏むことになるでしょう。

会社の経理はどのような基準で会計処理したらいいでしょうか?

 

Q 会社の経理はどのような基準で会計処理したらいいでしょうか?

A 原則として、会社の経理は「発生主義」に基づき会計処理をしましょう。利用日ベースで処理するのが、最もよい方法になります。
具体的には、費用の発生日に「費用/未払金」と、決済日に「未払金/預金」と仕訳をしましょう。たとえ現金主義で会計処理を行っていても、決算の際には「未払金」を使い、決算修正仕訳を計上することとなります。
発生主義とは、費用や収益の事実が発生した時点で計上する考え方です(お金の動きに関係なく)。反対に現金主義とは、現金を支払う・受け取る時点で、計上する考え方です。
電車の特急券を5月28日にクレジット購入したとします(決済日は7月10日)。この際、現金主義で処理すると、
7月10日 旅費交通費/預金
となりますが、あくまでも費用が発生したのは5月28日です。発生主義で処理すると、
5月28日 旅費交通費/未払金
7月10日 未払金/預金
という仕訳になるのです。
利用日と決済日の間に決算日がくると、現金主義に基づいて処理をする時でも、決算修正で未払処理が必要です。期中に発生した費用は費用としてきちんと計上しなければならないのです。
いずれの方法にしても、どちらかに統一してきちんと記帳することが必要です。この時は決済日で処理、あの時は利用日、というふうに毎度処理の基準を変えていると、きちんとした経営の管理を行なえません。

「休眠会社」買い取りのメリット・デメリットについて教えてください

 

Q 「休眠会社」買い取りのメリット・デメリットについて教えてください

A 「休眠会社」とは、登記簿上は存在していることになっているのに、実質的には営業が停止している会社のことを指します。会社を新たに設立するのではなく、休眠会社の買い取りによって事業を始める方法があります。休眠会社の買い取りによって、資本金調達の手助けとなるというメリットがあったのは、新会社法施行前です。現在、最低資本金制度がなくなり、休眠会社の買い取りに大きいメリットはないです。
メリット、デメリットをそれぞれ把握しておきましょう。

[メリット]
・社歴入手
長く続いており、歴史があるほど、会社は信望が厚いものです。社歴を得られるのは、メリットといえます。
・名目上、多額の資本金の獲得
資本金の大きさも信用の一つであるという考えがあります。
資本金額が高い会社の買い取りは、相当額の資本金を用意する必要がなくなるという点で、メリットといえます。
・許認可の獲得
不動産業(宅地建物取引業)など、許認可が付いている会社の買い取りは、そのまま許認可を獲得できるというメリットがあります。
・青色欠損金の活用
青色欠損金のある会社の買い取りは、過去の赤字分を引き継げることにより、税金が安くなるメリットがあります。

[デメリット]
・「隠れ債務」の存在
資産だけでなく、負債も引き継ぐということが、会社の買い取りです。負債の中には、借金、未払い金、買掛金などの債務だけでなく、帳簿に記載されていない債務も隠れて存在している可能性があります。
・新たな借り入れ不可のおそれ
もしも買い取った会社が銀行取引停止になっている場合(金融機関のブラックリスト入りをしている)、新たな借り入れはできません。またこの場合以外でも、決算書がきちんとしていなければ、融資を受けるのは困難です。
・青色申告
休眠会社は、税務申告をしていないために白色申告になっているパターンが多数です。そのため、青色申告に戻すために数年は時間がかかるというデメリットがあります。

休眠会社を買い取るときは、デメリットや、それによって発生するリスクを考慮し、念入りに検討しましょう。決算書、定款、登記事項証明書などを入手して、会社状況を事細かに調べましょう。
また、会社買い取りに際して、商号、役員、本店所在地、目的などの変更登記の手続きをしなければなりませんが、それだけで登録免許税(10万円ほど)がかかってしまいます。
設立のコストを抑えるだけの目的ならば、大きな効果はないといえるでしょう。

法人化のメリット・デメリットについて教えてください

 

Q 法人化のメリット・デメリットについて教えてください

A [メリット]
・対外的信用面
すべての会社は登記され、決算書を世に公開しています。法務局に足を運べば誰でも簡単に会社の概要を把握できます。その点から、個人事業に比べ社会的な信用を得やすいことがメリットです。
・資金調達面
 個人事業の場合、出資という概念が存在せず、第三者からの資金調達には借入か、または税金のかかる贈与という形になりますし、銀行融資も困難でしょう。一方、会社は、第三者からの出資や融資を受けることが可能です。資金調達の面でメリットがあります。
・継続面
事業が事業主に依存する個人事業に比べ、解散しない限り事業が継続する法人にはメリットがあるといえるでしょう。
・債務責任面
たとえ倒産しても、借金返済に対応するのは会社であり、個人ではありません。株主は債権者に対し、自らの出資額の範囲内で責任を負います。反対に個人事業は、事業に失敗した場合、すべての負債が個人の責任としてのしかかってきます。
・役員報酬による節税面
法人と個人事業は税率構造が異なるため、収入に即した設定を行うことができます。
会社から給与として支給されることにより、サラリーマンと同様の経費の控除(給与所得控除)ができます。家族を従業員にして給与を支払うことも可能です(勤務実態が必要)。
・青色欠損金
会社の場合青色申告を行っていれば、赤字が出た場合、9年間(平成20年4月1日以前に終了の事業年度には7年間)はその赤字の翌期への繰り越しが可能です(個人事業は3年間)。

[デメリット]
・交際費の上限
個人事業は、接待交際費の上限に定めはありませんが、法人には上限があります。
・住民税の均等割課税
会社には利益の有無に限らず、法人住民税の均等割の課税があります。資本金額、従業員数により金額は違いますが、最低でも一年間あたり7万円の納付が定められています。
・決算手続き
貸借対照表・損益計算書などの決算書の作成、複式簿記による記帳が必要のため、個人事業に比べ面倒です。
・維持
 会社は、移転する場合、役員を変更したい時、増資・減資などがある都度、登記を行わなければならないですし、その度に登録免許税がかかります。
・個人でのお金
会社のお金は個人で自由に使えません。役員の報酬は、年に一度、事業年度開始の日より3ヶ月以内にしか変更できません。儲けに応じ、取り分を変更したりはできません。

公告の方法にはどのようなものがありますか?

 

Q 公告の方法にはどのようなものがありますか?

A 特定の事項を一般に広く告知することを公告といいますが、株式会社では、決算公告のほか、資本金に関わる場合、会社が合併する場合などに、株主、債権者に重大な影響を及ぼしますので、これらの事項について公告しなければなりません。原則として、定款に定めた方法で行います。
公告が必要な事項のうち、決算公告は毎事業年度行います。
大小関係なく、株式会社は毎事業年度終了後に、損益計算書・貸借対照表などの計算書類を作り、株主総会で株主から承認されなければなりません。そして、株主総会の後、遅れることなく貸借対照表(規模の大きい会社の場合は貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければいけません。

3通りの告知方法
官報への掲載・・・「官報」とは国の機関紙です。費用が安価(約6万円)でコストがかからないため、多くの中小企業が官報による公告掲載をしています。
日刊紙へ掲載・・・日刊ならば、地方紙、全国紙どちらでも可です。ただし新聞掲載にはかなりの掲載料がかかります。大企業でなければ使わないほうがよいでしょう。
電子公告・・・ネット上での公告になります。5年間掲載が義務と定められています。
自社のホームページを使った決算公告の掲載費用はゼロです。3万円ほどかかりますが、帝国データバンクなどの公告サービスを利用する方法もあります(同じように5年間掲載)。

決算公告だけでなく、電子公告ですべてをまかなう際は、調査機関による調査が事前に必要となり、調査費用として約20万円かかります。

会社の規模や事情によって適切な公告方法の選択が必要ですが、コストの面から考えると、官報を公告方法としつつ、決算公告のみホームページを使うのが一番安価でしょう。

しかし、財務状況などがおおっぴらになることが、デメリットになり得ます。ウイルス対策や第三者による改ざん防止に努める必要があるでしょう。
 それぞれの良さ・悪さを理解し、適切な公告方法を選びましょう。

株式会社以外の会社形態にはどんなメリットがありますか?

 

Q 株式会社以外の会社形態にはどんなメリットがありますか?
輸入雑貨販売の会社を息子と立ち上げました。ネットショップから実績をつくり、資金が貯まったら店を構えたいと考えています。大きなビジネスを展開するのではなく、家族で小さく続けていきたいです。
しかし会社設立には意外とお金がかかりました。「合同会社」というものがあると耳にしましたが、株式会社以外の会社形態には他にどういったものがあるのでしょうか。メリットがあれば知りたいです。

A 2006年の会社法改正で株式会社の他に、合名会社、合資会社、合同会社という形態が新たに生まれました。株式会社と比べ、合同会社は設立のコストが低い、決算公告の必要がないといったメリットがあります。

Newer Entries »
Copyright(c) 2014 はじめての会社設立・法人設立 All Rights Reserved.