「休眠会社」買い取りのメリット・デメリットについて教えてください
Q 「休眠会社」買い取りのメリット・デメリットについて教えてください
A 「休眠会社」とは、登記簿上は存在していることになっているのに、実質的には営業が停止している会社のことを指します。会社を新たに設立するのではなく、休眠会社の買い取りによって事業を始める方法があります。休眠会社の買い取りによって、資本金調達の手助けとなるというメリットがあったのは、新会社法施行前です。現在、最低資本金制度がなくなり、休眠会社の買い取りに大きいメリットはないです。
メリット、デメリットをそれぞれ把握しておきましょう。
[メリット]
・社歴入手
長く続いており、歴史があるほど、会社は信望が厚いものです。社歴を得られるのは、メリットといえます。
・名目上、多額の資本金の獲得
資本金の大きさも信用の一つであるという考えがあります。
資本金額が高い会社の買い取りは、相当額の資本金を用意する必要がなくなるという点で、メリットといえます。
・許認可の獲得
不動産業(宅地建物取引業)など、許認可が付いている会社の買い取りは、そのまま許認可を獲得できるというメリットがあります。
・青色欠損金の活用
青色欠損金のある会社の買い取りは、過去の赤字分を引き継げることにより、税金が安くなるメリットがあります。
[デメリット]
・「隠れ債務」の存在
資産だけでなく、負債も引き継ぐということが、会社の買い取りです。負債の中には、借金、未払い金、買掛金などの債務だけでなく、帳簿に記載されていない債務も隠れて存在している可能性があります。
・新たな借り入れ不可のおそれ
もしも買い取った会社が銀行取引停止になっている場合(金融機関のブラックリスト入りをしている)、新たな借り入れはできません。またこの場合以外でも、決算書がきちんとしていなければ、融資を受けるのは困難です。
・青色申告
休眠会社は、税務申告をしていないために白色申告になっているパターンが多数です。そのため、青色申告に戻すために数年は時間がかかるというデメリットがあります。
休眠会社を買い取るときは、デメリットや、それによって発生するリスクを考慮し、念入りに検討しましょう。決算書、定款、登記事項証明書などを入手して、会社状況を事細かに調べましょう。
また、会社買い取りに際して、商号、役員、本店所在地、目的などの変更登記の手続きをしなければなりませんが、それだけで登録免許税(10万円ほど)がかかってしまいます。
設立のコストを抑えるだけの目的ならば、大きな効果はないといえるでしょう。