夫が数年前に死去し、相続人は私と子供2人(長男、次男)です。金融資産2,000万円と自宅2,000万円(合計4,000万円)が、夫の残した財産です。49日法要も過ぎ、相続財産分けに関する話し合いを3人で行いました。相談できる人が思い浮かばず、また、法定相続分どおりに相続する必要があるという話を耳にしたことがありましたので、法定相続分どおりに私が2分の1、長男と次男が各4分の1とし、いかに相続するかを話し合いました。夫と2人暮らしをしていた自宅を相続しなければ暮らす場所がありませんので、自宅だけを相続したいと伝えました。長男と次男は各々家庭や持ち家があって自宅は不要ですので、金融資産を各1,000万円相続することとし、遺産分割協議を終えました。以後、私は年金収入と自己資金を取り崩して何とか生活してきたものの、病気などにより医療費も膨らみ、資金繰りが苦しくなってしまいました。長男や次男に援助してもらおうとも考えましたが、2人も生活に余裕が無さそうでしたので、言い出せずに自宅を売却し、アパートを借りて質素に暮らしています。本当に、法定相続分どおりに遺産分割を行わなければならなかったのでしょうか?
Q.
夫が数年前に死去し、相続人は私と子供2人(長男、次男)です。金融資産2,000万円と自宅2,000万円(合計4,000万円)が、夫の残した財産です。49日法要も過ぎ、相続財産分けに関する話し合いを3人で行いました。相談できる人が思い浮かばず、また、法定相続分どおりに相続する必要があるという話を耳にしたことがありましたので、法定相続分どおりに私が2分の1、長男と次男が各4分の1とし、いかに相続するかを話し合いました。夫と2人暮らしをしていた自宅を相続しなければ暮らす場所がありませんので、自宅だけを相続したいと伝えました。長男と次男は各々家庭や持ち家があって自宅は不要ですので、金融資産を各1,000万円相続することとし、遺産分割協議を終えました。
以後、私は年金収入と自己資金を取り崩して何とか生活してきたものの、病気などにより医療費も膨らみ、資金繰りが苦しくなってしまいました。長男や次男に援助してもらおうとも考えましたが、2人も生活に余裕が無さそうでしたので、言い出せずに自宅を売却し、アパートを借りて質素に暮らしています。本当に、法定相続分どおりに遺産分割を行わなければならなかったのでしょうか?
A.
法定相続分というのは、民法において定められている取り分のことで、次のとおりです。なお、子、直系尊属、兄弟が各々複数存在する場合には、均等に分けるのが原則です。
○配偶者と子が相続人である場合には、配偶者が2分の1、子が(複数の場合は全員で)2分の1。
○配偶者と直系尊属が相続人である場合には、配偶者が3分の2、直系尊属が(複数の場合は全員で)3分の1。
○配偶者と兄弟が相続人である場合には、配偶者が4分の3、兄弟が(複数の場合は全員で)4分の1。
法定相続分は相続人同士で遺産分割の合意ができなかった場合における遺産の取り分ですので、この相続分による遺産分割を必ず行わなければならないというわけではありません。
ご質問のケースにおいては、法定相続分どおりに遺産分割をすべきであると考えていたために、自宅の売却をしてしまいました。しかし、相続人同士で遺産分割の同意ができれば、いかに分割しても構いませんので、長男や次男と合意できればご質問者が自宅と金融資産の全てを相続することも可能でした。
また、夫が相続人のことを考えて遺言書を作成しておくと良かったでしょう。遺言書の作成時には、遺留分についても十分に留意する必要があります。遺留分の侵害となる遺言書を残した場合には、トラブルの原因となる可能性があります。
遺留分は基本的に法定相続分の2分の1で、次のとおりです。
○配偶者のみが相続人である場合には、2分の1。
○配偶者と子が相続人である場合には、配偶者が4分の1、子が4分の1。
○配偶者と直系尊属が相続人である場合には、配偶者が3分の1、直系尊属が6分の1。
○配偶者と兄弟が相続人である場合には、配偶者が2分の1。(兄弟に遺留分はありません。)
○父母のみが相続人である場合には、3分の1。
相続税を申告する必要がなければ、多くの場合に税理士等の専門家に相談しないと思われますが、専門家に遺産分割の相談をすることで上手に分割を行うことができるかもしれません。