資本金は1,000万円にこだわった方がいいのでしょうか?
Q 資本金は1,000万円にこだわった方がいいのでしょうか?
45歳になり、この度会社を設立しようと考えています。「資本金1,000万円」にこだわり、東奔西走して、なんとか資金をかき集めました。しかし専門家には「1,000万円にこだわる必要はない」と言われました。デメリットなんてあるのでしょうか。
A 1,000万円を自己資金で用意するには限界があります。資本金の為に借りた金利、初年度からの課税などがデメリットになります。新会社法により、最低資本金額の制限がなくなりました。事業の計画に合わせた金額を決めましょう。
今まで必要だった資本金は、株式会社1,000万円、有限会社300万円以上です。
しかし最低資本金額の規制が新会社法でなくなり、1円からの開業が可能になりました(有限会社法の廃止により、有限会社をつくることは不可となりました)。
しかし質問6のように、資本金1円からの会社運営は現実的に厳しいものとなります。様々な面から慎重に考え、元手として必要な金額を決めましょう。
[資本金額の決定]
・開業資金、運転資金
設備投資や仕入れ金、家賃などを計算し、経営が軌道に乗るまで運転資金としてどれくらいの資金が必要かを考慮します。資本金の目安としては開業資金+設立時から3〜6ヶ月ほどの運転資金です。
・借り入れ面
創業融資を受ける際、普通は資本金額で限度額が決定されます。つまり多くの融資を受けるには多くの資本金が必要となります。
・税金面
1,000万円未満の資本金だと、設立から2年の間消費税が免除されます。1,000万円からはこれに該当せず、初年度から納税しなければなりません。
また「法人住民税の均等割」という決まりがあり、資本に関係なく毎年納める義務のある税金がありますが、これは従業員数、そして資本金によって金額が変わります。東京都の場合ですと、資本金1,000万円以下、従業員数50人以下の場合は7万円ですが、資本金が1,000万円を超えると18万円になってしまいます。
さらに1億円以上の資本金には外形標準課税が適用され、経費として交際費が含まれず、また赤字でも事業税が発生したりと、中小企業にとっては大きなデメリットとなります。
・許認可面
許認可のいる事業の場合、一般建設業500万円以上、人材派遣業2,000万円以上というように、資本金額の条件が定められている場合がありますので注意しましょう。
・信用面
会社の信用、規模を見るにあたり資本金は一つの指標となります。取引先がそれを重視することもありますので、しっかり考慮しましょう。
資本金の決定には、事業計画に合うように多角的に検討することが大切です。