夫は死去しましたが、生前はある事業(白色申告)をし、私はその事業専従者でした。このたび、夫の相続税の税務調査において、私名義の預金が存在し、それは名義預金(預金の名義は私であるものの実質的には夫のもの)となることから夫の相続財産となると指摘されました。名義預金であることから相続財産となるのは納得できたものの、その預金が夫のものと知っていて隠したことから、仮装又は隠蔽したこととなって配偶者の税額軽減は適用されないと言われ、納得できませんでした。事実関係については、この名義預金の原資は夫が事業により蓄えた資金であり、夫の指示で私が各金融機関に係る口座を開設する手続をし、この口座に係る通帳と印鑑の管理は夫が行い、夫の指示で私が各金融資金の口座の入出金をしていました。私は夫と一緒に仕事をしていましたが、専従者給与の支払いはなされていませんでした。後に、私も一緒に仕事をしてきたのに、私の財産はゼロなのかと主張しましたが、私の真意が伝わらなかったので、税理士に頼んで異議申し立てから審査請求を行いました。そして、一緒に仕事をしてきたことによって、その名義預金の一部は私のものであると認識したことに理由があり、当初から主人のものであると認識して過少に意図して申告したものではないと分かってもらえました。また、外部からうかがえる特段の事情がないとされて仮装又は隠蔽に当たらないとされ、配偶者の税額軽減の適用を受けることができました(平成23年11月25日裁決)。仮装又は隠蔽と認定されたケースや認定されなかったケースとして、どのようなものがありますか?
Q.
夫は死去しましたが、生前はある事業(白色申告)をし、私はその事業専従者でした。このたび、夫の相続税の税務調査において、私名義の預金が存在し、それは名義預金(預金の名義は私であるものの実質的には夫のもの)となることから夫の相続財産となると指摘されました。名義預金であることから相続財産となるのは納得できたものの、その預金が夫のものと知っていて隠したことから、仮装又は隠蔽したこととなって配偶者の税額軽減は適用されないと言われ、納得できませんでした。事実関係については、この名義預金の原資は夫が事業により蓄えた資金であり、夫の指示で私が各金融機関に係る口座を開設する手続をし、この口座に係る通帳と印鑑の管理は夫が行い、夫の指示で私が各金融資金の口座の入出金をしていました。私は夫と一緒に仕事をしていましたが、専従者給与の支払いはなされていませんでした。
後に、私も一緒に仕事をしてきたのに、私の財産はゼロなのかと主張しましたが、私の真意が伝わらなかったので、税理士に頼んで異議申し立てから審査請求を行いました。そして、一緒に仕事をしてきたことによって、その名義預金の一部は私のものであると認識したことに理由があり、当初から主人のものであると認識して過少に意図して申告したものではないと分かってもらえました。また、外部からうかがえる特段の事情がないとされて仮装又は隠蔽に当たらないとされ、配偶者の税額軽減の適用を受けることができました(平成23年11月25日裁決)。仮装又は隠蔽と認定されたケースや認定されなかったケースとして、どのようなものがありますか?
A.
配偶者名義の預金であれば配偶者のものとなると断言することはできず、その財産の形成過程が重要です。
また、配偶者の税額軽減という制度が存在し、次の二つのうちいずれか大きい額まで配偶者が相続しても相続税は課されません。
○夫が残した財産の法定相続分(2分の1が一般的)
○1億6,000万円
ただし、配偶者がその相続財産を仮装又は隠蔽した(知っていて隠した)と認定されれば、この制度の適用を受けられず、また、相続税本税の35%の重加算税が課されてしまいます。そして、重加算税が課された場合には、無限に延滞税が課されてしまいます。
したがって、相続税の申告前に税理士に対して、配偶者の財産を開示し、配偶者名義の預金に問題は無いかといったことを確認してもらう必要があります。すなわち、結婚前や結婚後に自ら仕事をして蓄えた財産か、実家からの相続や贈与によってもらった財産か、また、夫から存命中に贈与によってもらった財産かについて、確認してもらうのです。
仮装又は隠蔽と認定されたケースや認定されなかったケースについて、以下に述べます。
配偶者が贈与という直接的な事実の立証が不可能であったこと及びその配偶者自らが保険契約の指示や不動産購入の指示をしている場合において、平成23年5月26日裁決では、仮装又は隠蔽と認定されました。
また、配偶者も固有の財産を有していて、相続財産である配偶者名義の夫の財産と配偶者固有の財産を一括して管理運営しており、これらの財産を明確に区分できなかった場合において、平成24年4月24日裁決では、配偶者がその配偶者名義財産を明らかに相続財産と認識していたとは認められないとされ、仮装又は隠蔽に該当しないとされました。
そして、平成25年12月10日裁決では、家族の名義預金につき、課税側はその通帳や印鑑の使用状況や、保管場所などの管理状況に関する具体的な主張や立証をせず、原資については相続開始日前3年間の被相続人の収入が多いこと等を示すだけで具体的な主張立証を行っていないとされ、相続財産と認められないとされて重加算税も取り消されました。