夫の家系が昔からの地主であることから、夫は多くの賃貸用不動産を持っていました。先日の夫の死去に伴って遺品を整理していた際に、自筆証書遺言が見つかりました。裁判所で検認を受け、遺言書の内容を確認しました。自宅は私に、賃貸用不動産は子供たちに、預貯金は均等に相続させるという内容でした。そして、遺言書に記されていない財産や債務は、妻である私に全て相続、敬称させるという記載もありました。夫の遺言を子供たちも受け入れ、その遺言書を用いて円滑に相続登記を行い、預貯金の解約手続を行っているところです。ところが、相続税の申告のために税理士に遺言書を見せて相談した際に、遺言書の問題点を伝えられました。賃貸用不動産について、家賃を滞納している人がいるために未収家賃が発生していますが、その未収家賃の権利を相続するのは誰であるかということや、不動産の一部老朽化によって生前建て替えをしたときの借入金を承継するのは誰であるかということが、特に記されていないのが問題であると指摘されました。遺言書によると、記されていない財産や債務の全てを私が相続、承継することになっていますので、未収家賃は全て私が取得し、借入金は全て私が負担するということになります。しかし、私には収入がありませんので、借入金を承継するのは不合理です。そこで、子供たちに話をして、未収家賃や借入金の負担は各不動産を取得した者にひも付けとなるよう、遺産分割協議を改めて行うこととなり、予想以上に時間や労力を要してしまいました。遺言書には不動産を特定の者に相続させることのみを書いてあれば問題ないという認識が間違っていたのでしょうか?

 

Q.
 夫の家系が昔からの地主であることから、夫は多くの賃貸用不動産を持っていました。先日の夫の死去に伴って遺品を整理していた際に、自筆証書遺言が見つかりました。裁判所で検認を受け、遺言書の内容を確認しました。自宅は私に、賃貸用不動産は子供たちに、預貯金は均等に相続させるという内容でした。そして、遺言書に記されていない財産や債務は、妻である私に全て相続、敬称させるという記載もありました。夫の遺言を子供たちも受け入れ、その遺言書を用いて円滑に相続登記を行い、預貯金の解約手続を行っているところです。
 ところが、相続税の申告のために税理士に遺言書を見せて相談した際に、遺言書の問題点を伝えられました。賃貸用不動産について、家賃を滞納している人がいるために未収家賃が発生していますが、その未収家賃の権利を相続するのは誰であるかということや、不動産の一部老朽化によって生前建て替えをしたときの借入金を承継するのは誰であるかということが、特に記されていないのが問題であると指摘されました。遺言書によると、記されていない財産や債務の全てを私が相続、承継することになっていますので、未収家賃は全て私が取得し、借入金は全て私が負担するということになります。
 しかし、私には収入がありませんので、借入金を承継するのは不合理です。そこで、子供たちに話をして、未収家賃や借入金の負担は各不動産を取得した者にひも付けとなるよう、遺産分割協議を改めて行うこととなり、予想以上に時間や労力を要してしまいました。遺言書には不動産を特定の者に相続させることのみを書いてあれば問題ないという認識が間違っていたのでしょうか?

A.
 ご質問のケースにおいて、夫の書いた遺言書の一部は次のとおりです。

第X条 遺言者は、遺言者の長男XXXX(昭和X年X月X日生)に次の財産を相続させる。
 (1)土地
  所在 XX市XX区XX
  地番 XX番XX
地目 宅地
  地積 XX㎡
 (2)建物

~省略~

第X条 遺言者は、前条までに記載以外のその他一切の財産及び債務を妻XXXX(昭和X年X月X日生)に相続させ、又は負担させる。

 遺言書が書かれていても、細部まで指定されていない場合には、結果として、分割協議を行わなければならなかったり、トラブルに発展する可能性があったりして、遺言書を残した意味が失われてしまいます。
 遺言書を書くに当たっては、税理士等の専門家に相談した上で、財産や債務は誰が引き継ぐことになるのかを詳細に指定することが重要です。

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