どんな取引でも契約書なしで構わないのでしょうか。

 

Q どんな取引でも契約書なしで構わないのでしょうか。

A 売買契約は契約書なしでも成立します。しかし契約の内容をしっかり把握し、トラブルが起きるのを防ぐためにも、その作成は必要であるといえます。もしも約束した金額がきちんと支払われなかったり、仕様や数字に違いがあった場合、口頭の約束では証明が難しくなります。

2名以上の当事者同士による意思表示の合致により成立する法律行為が、「契約」です。
 契約には、契約書の作成が必須のものと、そうでないものがあります。連帯保証契約などは、書面での契約が必ず必要であると定められています。このような、一定の条件を満たさなければ成立しない契約のことを「要式契約」とよびます。
それとは別に、特にやり方が定められていない契約のことを「不要式契約」とよびます。
 ビジネスの場面で取引される契約は「不要式契約」で、書面がなくても大丈夫です。口頭での約束でも、法的には契約が成立します。

とは言っても、契約の有無も含め証明することが難しくなるため、契約書を作成しない取引は会社にとってリスクを背負うことになるでしょう。ある条件でお互い合意したと思っても、のちのち「そういった話は知らない、聞いてなかった」「違う条件だと認識していた」ということになりかねません。指定した代金をきちんと支払ってもらえなかったり、注文したものとは違う商品が送られてきても、契約成立を証明できず、泣き寝入りしなければならない場合もあるでしょう。さらに、契約書は税務調査の時に開示が要求される場合があります。法務関係のケースだけではなく、税務上でも重要な書類だということを覚えておきましょう。
契約書作成のメリットはたくさんありますが、デメリットはほとんどありません(作成のためのコストがかかることくらいです)。準備するが吉です。

一般的に、契約書は「標題、前文、本文(約定事項)、末文、日付、契約当事者の表示」から成ります。標題としては「契約書」、「念書」、「覚書」などがありますが、内容が契約の当事者の合意であれば、どのようなものを用いても契約書として機能します。
「契約当事者の表示」では、「署名」または「記名捺印」が必要となります。法律上にあけるこの二つの効力は同等です。

契約書は課税文書なので、印紙税法に則り、印紙の貼付・消印が定められています。定められている収入印紙が貼られていなかったり、金額が足りないことが発覚すると、本来の印紙税の3倍の過怠税がかかってしまいます。気づいて自主的に申し出ると1.1倍)。印紙が貼られていなくても、契約そのものは有効です。

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