私は運送業を営む法人の代表取締役で、家族構成については両親と妹1人がいます。父が当社を創業し、私は相続で株式を承継する予定でした。父は自分が死んだ後のことを考えるのを嫌っていたものの、1年前に軽度の脳梗塞によって緊急搬送されたのがきっかけとなり、自らが倒れたことが周囲に知られると信用を失うかもしれないと家族に口外しないように伝えた上で、まじめに考え始めたようでした。父は創業時よりお金を会社に残すとの考えに沿って自らの役員報酬も決定していたため、目立った財産は経営する会社の株式と本社不動産兼自宅のみであり、その全てを会社を継ぐ予定の私に相続させれば、私と妹のバランスが悪くなると思い、会社を会社分割によって、倉庫1棟を保有する法人(100%出資、不動産賃貸業)と運送業を営む法人(100%出資)に分け、前者を妹に後者を私に相続させる遺言を作成していました。不動産である倉庫を切り分けると登録費用等に費用を要するため、運送業を新法人に切り分けることにしたそうです。遺言書を作成してから数カ月が経過した先月に、父は無理をした結果、脳梗塞でまた倒れ、死去しました。父は死去の直前に「相続のことを考えて会社を分け、遺言書も作成しておいたので心配しなくていい」と言っていたため、あまり心配していませんでしたが、納骨が終わった頃に顧問税理士が訪ねてきて、相続税の概算額を聞き、父が存命中に言っていた概算値の数倍で驚きました。父が倒れたのは脳梗塞が原因で、また倒れるリスクが存在することを顧問税理士は知らなかったようです。そして、会社の主たる事業に変更があったり新設法人であったりした直後には、会社の評価が上がるとのことでしたので、相続税の申告と高額な納税を行うこととなってしまいました。父は税理士に相談してアドバイスを受けるべきだったのでしょうか?

 

Q.
 私は運送業を営む法人の代表取締役で、家族構成については両親と妹1人がいます。父が当社を創業し、私は相続で株式を承継する予定でした。父は自分が死んだ後のことを考えるのを嫌っていたものの、1年前に軽度の脳梗塞によって緊急搬送されたのがきっかけとなり、自らが倒れたことが周囲に知られると信用を失うかもしれないと家族に口外しないように伝えた上で、まじめに考え始めたようでした。父は創業時よりお金を会社に残すとの考えに沿って自らの役員報酬も決定していたため、目立った財産は経営する会社の株式と本社不動産兼自宅のみであり、その全てを会社を継ぐ予定の私に相続させれば、私と妹のバランスが悪くなると思い、会社を会社分割によって、倉庫1棟を保有する法人(100%出資、不動産賃貸業)と運送業を営む法人(100%出資)に分け、前者を妹に後者を私に相続させる遺言を作成していました。不動産である倉庫を切り分けると登録費用等に費用を要するため、運送業を新法人に切り分けることにしたそうです。
 遺言書を作成してから数カ月が経過した先月に、父は無理をした結果、脳梗塞でまた倒れ、死去しました。父は死去の直前に「相続のことを考えて会社を分け、遺言書も作成しておいたので心配しなくていい」と言っていたため、あまり心配していませんでしたが、納骨が終わった頃に顧問税理士が訪ねてきて、相続税の概算額を聞き、父が存命中に言っていた概算値の数倍で驚きました。父が倒れたのは脳梗塞が原因で、また倒れるリスクが存在することを顧問税理士は知らなかったようです。そして、会社の主たる事業に変更があったり新設法人であったりした直後には、会社の評価が上がるとのことでしたので、相続税の申告と高額な納税を行うこととなってしまいました。父は税理士に相談してアドバイスを受けるべきだったのでしょうか?

A.
 上場株式については、インターネットや新聞を確認すれば、株価がすぐに分かります。一方、非上場株式の相続税法上の評価については、実務においては「財産評価基本通達」に沿って行われています。年間配当額、年間利益金額及び税務上の純資産価額を上場企業のそれと比べて算出する「類似業種比準価額」と、法人の貸借対照表を時価換算して算出する「純資産価額」を、会社規模(従業員数、取引金額、総資産価額により決定)に応じて併用して算出します。具体的には、次の計算式で算出される額と純資産価額のどちらか低い方の価額を選択します。
○大会社…類似業種比準価額×100%
○中会社の大…類似業種比準価額×90%+純資産価額×10%
○中会社の中…類似業種比準価額×75%+純資産価額×25%
○中会社の小…類似業種比準価額×60%+純資産価額×40%
○小会社…類似業種比準価額×50%+純資産価額×50%
 ただし、例えば、主たる業種が変わってから間もない会社や開業後3年に満たない会社に当てはまる場合には、類似業種比準価額を測定することが困難ですので、純資産価額によって通常評価します。類似業種比準価額に比べて純資産価額は評価額が高くなるのが一般的ですので、相続税が高くなることに留意しなければなりません。
 税理士は、健康状態を心配するという感情による他、相続対策によっては実行直後に相続が発生した場合に非常に不利となる恐れがあるため、ご本人やご両親の体調を伺うケースがあります。税理士には守秘義務があり、伺った情報を承諾を得ずに他言することはありませんので、正しい情報や状況を安心して伝えて相談することをお勧めします。

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