父に相続が発生しましたが、父の金融資産が少なかったために相続税を納めることができず、唯一の不動産である自宅を売ることに決めました。しかし、娘である私が現在も暮らしていますので全てを譲渡することはできず、自宅の土地の一部を分筆した上で譲渡し、相続税の納税に充当することとしました。マイホームを売った場合における税制上の特例が存在することを分かっていましたので、売却につき税金はほとんど課されないのではないかと思っていましたが、実際は違っていました。税理士に相談した際に、軒先の土地だけの譲渡であることからマイホームの特例の適用を受けられず、多額の譲渡税が課される旨を指摘されたのです。譲渡税を準備しておらず、納税資金の準備に困りました。その際に、自宅を減らすことなく相続税を納税できる底地物納の存在を税理士から知らされたのですが、この底地物納というのは、どのような方法ですか?

 

Q.
 父に相続が発生しましたが、父の金融資産が少なかったために相続税を納めることができず、唯一の不動産である自宅を売ることに決めました。しかし、娘である私が現在も暮らしていますので全てを譲渡することはできず、自宅の土地の一部を分筆した上で譲渡し、相続税の納税に充当することとしました。
 マイホームを売った場合における税制上の特例が存在することを分かっていましたので、売却につき税金はほとんど課されないのではないかと思っていましたが、実際は違っていました。税理士に相談した際に、軒先の土地だけの譲渡であることからマイホームの特例の適用を受けられず、多額の譲渡税が課される旨を指摘されたのです。譲渡税を準備しておらず、納税資金の準備に困りました。その際に、自宅を減らすことなく相続税を納税できる底地物納の存在を税理士から知らされたのですが、この底地物納というのは、どのような方法ですか?

A.
 土地や建物を譲渡すれば、譲渡所得として、他の所得とは区分して所得税や住民税が課されます。売値から取得費(買値)、譲渡時にかかった費用を引いた残り(もうけ)を譲渡所得として、土地や建物の所有期間に応じて一定の税率を乗じて算出します。
 マイホームを売却した際には、一定の条件に該当する場合、所有期間の長短にかかわらず、譲渡所得から上限3,000万円まで控除したり、通常より低い税率により計算したりできる特例が存在します。ただし、ご質問のケースのように、自宅の土地(一部)のみを譲渡し、建物を譲渡することなく引き続き所有する軒先譲渡については、特例の適用が認められません。特例の適用を受けるためには、建物を譲渡する、又は、建物の他に土地も譲渡する(手者の取壊し後一定期間内における譲渡も含む)必要があります。
 相続税の原則的な納税方法は、現金による一括納付です。しかしながら、一括納付できる現金が存在しなければ、次の二つの納税方法が認められます。分割払いにより納付する「延納」と、延納によっても相続税を納めることができない場合に認められる「物納」です。物納は、不動産などの相続財産(モノ)を相続税評価額で納める納税方法です。
 完全所有権の土地をそのまま物納せず、借地権部分と底地部分に区分し、底地部分のみを納税に充てる方法を、底地物納と呼びます。なお、この底地物納には、従来借地権者が存在し、底地だけを所有していて、その底地部分だけを納税に充てる方法も含まれます。
 底地物納のメリットについては、売却する土地を所有し続けることが可能であり、また、土地の所有者は国になりますので、地代を支払う必要が生じるものの、固定資産税等を納めることが不要となります。そして、国は底地の売却(払い下げ)を借地権者にしか行わないのが原則ですので、金銭的に余裕ができれば、底地を買い戻すこともできます。買い取りの要請が3年に1回、国からあります。
 底地物納では、土地の相続税評価額×(1-借地権割合)で納付します。小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、収納価額は減額後における金額とされます。
 納税資金を確保すべく、不動産を売ることを検討する場合も多いと思われますが、税理士等の専門家に相談した上で物納も選択肢に加えるといいでしょう。

Copyright(c) 2014 はじめての会社設立・法人設立 All Rights Reserved.